初心者にもよくわかる文章教室 01 カッコいい文章を書こう 山川健一
──小説でもエッセイでも、文章を書く上で大切なのは、「視点」「材料」「構成」だ──
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2024年4月19日
特別公開:初心者にもよくわかる文章教室 01 カッコいい文章を書こう 山川健一
【おまえはなんてハンサムなんだ。女達がほっとかないだろう?】
ジャズのトランペッター、マイルス・デイヴィスの伝記を読んだことがあるのだが、彼はよく鏡に向かってこう言っていたのだそうだ。
「マイルス、おまえはなんてハンサムなんだ。最高だ。女達がほっとかないだろう?」
コンサートに出かける前や、自信を喪失した時などに、自分にそう言ってやるんだと彼は言っていた。
僕は感銘を受けて、大切な仕事に出かける時には、マイルスの真似をして鏡に向かって言うことにした。
「おまえは最高だ。その仕事は絶対にキメられるよ」と。
残念ながら僕はハンサムではない。ルックスに自信があるわけではないので、「最高だ」のところだけ真似することにしたのだ。
あなたも、鏡に向かってそう言えばいい。
女性なら、
「きれいね、完璧よね!」と言えばいい。
「私なんて」とか、「もっと○○○なら」などと言ってはいけない。
「もっと勇気があって美人なら、幸せになれるのに」なんてことは、思ってもいけない。
女性はよく「私なんて」という言葉を口にするけれど、それは傷つきたくないという気持ちからくる防衛本能なのだと思う。だけど、「私なんて」という言葉ほどあなたの魅力をそこねてしまうものはない。
「私なんてきれいじゃないから」
「脚が太いし」
「何の才能もないから」
女の人に「私なんて」と言われると、男はどうするか。
「いや、そんなことはないよ。君はとても魅力的だよ」
多くの男達はそう言うだろう。
まさか、
「そうだね。君なんて……」とは言えないから。
しかし、それも二、三度までだ。何度も「いや、そんなことはないよ」と繰り返すのは疲れるから、やがて待ち合わせするのを敬遠することになる。
女性だけではなく、もちろん男にもこういう人物はいる。
うちのバンドにそういうギタープレイヤーがいたことがある。レコーディングでソロのトラックを録音した後に、
「俺のソロなんて」みたいなことを言う。
みんなで「いや、そんなことはないよ」と褒めていたんだが、やがて疲れ果てた。
「俺なんてこのバンドには必要ないよね」
ある時スタジオで彼がそう言い、誰かが、
「そうだな、必要ないな」と答えた。
彼は唖然としていたが、結局バンドを辞めた。
謙遜するのも、時と場合とその度合いが問題だ。
あなたも「私なんて」は、今日から禁句にするべきだ。
【お前は才能の塊だ。ランボーの再来だぜ】
文章教室なのになぜこんな話をしたかというと────続きはオンラインサロンでご覧ください)
山川健一『物語を作る魔法のルール 「私」を物語化して小説を書く方法』