初心者にもよくわかる文章教室 02 あんたはカッコよく書いたかい?
──カッコいい文章を書くためには、表現力を磨かなければならない。そのためにはまず、文法通りである必要がある。どんなに声が良くても、音痴だと歌にならない──
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2024年4月26日
特別公開:初心者にもよくわかる文章教室 02 あんたはカッコよく書いたかい? 山川健一
【助詞音痴と主語行方不明】
カッコいい文章を書くためには、表現力を磨かなければならない。そのためにはまず、文法通りである必要がある。どんなに声が良くても、音痴だと歌にならない。
言語は、カオスに形を与える機能を持っている。文法的な間違いがあると、カオスはさらに深まる。文法の間違いは、可能な限り修正しなければならないのだ。
まあ、とは言え、母語なのだからそんなに身構える必要もない。
大学で教えた経験、物語化計画で皆さんの原稿を日々読ませて頂いている経験から言って、文法の問題はとにかく以下の2点に尽きる!
- 助詞の使い方を間違えているケース
- 主語と述語がきちんと対応していないケース
これを直すのは簡単そうに思えるが、実のところとても難しい。なぜかと言うと、助詞の問題も主語と述語の問題も技術の問題ではなく、精神的な、あるいは歴史的な問題かもしれないからだ。
文章を書く際にも「音痴」としか思えない人たちがいる。これはあまりにも基礎的なことなので、教えようがないのだ。自力でやってもらうしかない。
助詞とは、「てにをは」のことだ。単語に付加し自立語同士の関係を表したり、対象を表したりする語句の総称だ。付属語であり、活用しない。
たとえば「海に行く」と「海へ行く」の「に」「へ」や、「世界でただ一つの」と「世界にただ一つの」の「で」「に」や、「あなたが好きだ」「あなたを好きだ」の「が」「を」は、どちらも正しいがニュアンスが少し違う。
助詞は言葉に意味を与える語なのだ。格助詞・接続助詞・副助詞・終助詞などがある。
- 薔薇が咲いた。(主語であることを示す助詞「が」
- 寒いから行かない。(理由をあらわす助詞「から」)
- 猫をいじめるな。(禁止をあらわす助詞「な」)
日本語の助詞の使い分けには曖昧さがあるとも言える。その微妙なニュアンスを理解することが必要なのだ。
そして肝心なのは、助詞の間違いは「読み返せばすぐに気が付く」はずだということだ。もちろん気が付いたらすぐに訂正しておくことが大切だ。
NHKの大河ドラマ『光る君へ』にも登場する清少納言の『枕草子』の書き出しは、多くの日本人が覚えているだろう。
「春は、あけぼの」だが、この「は」はどういう意味を持っているのか? 「春は、たのしい」「春は、きらいだ」などの「は」と同じだろうか? どうもそうではないようだ。
「春ならやっぱりあけぼのがいいわよね」と清少納言は言っているわけだ。
清少納言に限らず当時の王朝文学では、不要な言葉は可能な限りカットした。『源氏物語』が難解なのは主語が省略されているからだ。清少納言も前後の言葉を可能な限り省略して「春は、あけぼの」と書いたのである。
文法的にはかなり高度なことをやっているわけだ。
現代日本語ではこれは許されない。しかし僕らは紫式部や清少納言のDNAの延長で小説を書かなけれなならないから、助詞の問題で迷うのかもしれない。
【推敲することが大事】
日本語は、じつは、とてもむずかしい言葉である。正しい日本語を書ける人は、大人でも案外少ないものだ。
習うより慣れろと言うが、正しい日本語を身につけるには、日常的に文章を書くことがいちばんの近道だ────続きはオンラインサロンでご覧ください)
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