特別公開:発語の不可能性を乗り超えるために1 山川健一

「今週は「発語以前」について解説します。

発語というのは、言葉を発するという意味だ。「おはよう」と声に出して言うのが発語だ。

発語の不可能性とは、それが出来ない状態のことだ。

誰かと会って、「おはよう」と言えない状態は想像しづらいが、あなたが高校生だった頃を思い出してみよう。」


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「私」物語化計画 2019年11月1日

特別公開:発語の不可能性を乗り超えるために1 山川健一

まず、先週までの復習を。

現代小説のための設計図は、2つの相反するナラトロジーによって成立しているという話だった。

2つのナラトロジーとは──。

「書き出しの現象学」
「隠された父の発見/隠された秘密の開示」

 

そして「隠された父の発見/隠された秘密の開示」がさらに2つに分かれる。

「発語以前」
「発語以降」

 

今週は「発語以前」について解説します。

発語というのは、言葉を発するという意味だ。「おはよう」と声に出して言うのが発語だ。

発語の不可能性とは、それが出来ない状態のことだ。

誰かと会って、「おはよう」と言えない状態は想像しづらいが、あなたが高校生だった頃を思い出してみよう。あ、そう言えば『「私」物語化計画』には中学生の女子もいるので、その場合は3年後、高校2年生になった自分を想像してみよう。

よく晴れた日の朝、通学路でばったりあなたが密かに好意を寄せている相手とあったとする。その時にすんなり「おはよう」と言えるだろうか?

多分、言えない。

それが最もシンプルな発語の不可能性だ。

朝の挨拶でさえすんなり言えないのだから、「好きです」なんて到底言えそうにもない。

あなたは大学生になり、恋の告白も終わり、甘い2年間を過ごし、しかし事情があって別れた。それからさらに3年の月日が過ぎ、夕方バスのロータリーでスマホを片手にバスを待っていると、かつての恋人の横顔が目の前にある。

その時に、気軽に声をかけられるだろうか。普通は、なかなか難しいだろう。

あるいは、過去にひどいことをされ、腹の底から憎んでいる相手と偶然出会った時。何か言葉を発することができるだろうか。

つまりいろいろなパターンの発語の可能性があると言うことだ。発語する──それは…..,(特別公開はここまで、続きはオンラインサロンでご覧ください)

 

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