『カラマーゾフの兄弟』から学ぶこと 04 イエスは黙って答えない 山川健一

──あれだけ饒舌だったドストエフスキーが、これから小説を書こうとする僕らに教えてくれた最大の事は、黙して語らないことの大切さなのではないだろうか──

 

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2024年2月9日

特別公開:『カラマーゾフの兄弟』から学ぶこと 04 イエスは黙って答えない 山川健一

ドストエフスキーの『カラマーゾフの兄弟』は読み終わりましたか? とりわけ『大審問官』は読了したでしょうか?

宗教あるいは「神」の問題は人間の生活にとって切り離すことのできないものだ。

では、思い出話から。

僕が通っていたのは県立千葉高校で、反戦高協によって図書館が封鎖され、騒然とした中機動隊が導入された。夜になってサーチライトが点灯された中、高校生と機動隊員が揉み合いになった。日本で初めて機動隊が入ったのが千葉高であった。

それから1年は、授業が中止されて縦割り集会が行われたりして、日常生活は失われた。

当時の高校には、三つの勢力があった。

全共闘系。僕はここに所属してきた。

日本共産党傘下の民青。僕よりひとつ年下の志位和夫氏がいた。

それから、キリスト教の牧師の息子達のキリスト教勢力で、彼らはよくピーター・ポール&マリーの反戦歌を歌っていた。上手だった。

ピーター・ポール&マリーのファンだった僕が彼らと話すのを、全共闘の先輩は「お前はストーンズだろう!」と言い、止めようとした。

ある時に、牧師の息子である先輩が言った一言が、未だに忘れられない。

「思想や文学はぎりぎりのところで人間を許さない。神だけが人を許すんだよ」

なるほど、宗教とはそういうものかと16歳の僕は思ったものだったが、「俺は許されたくはないな」という想いが強くなっていった。カミュの『異邦人』は、この路線で書かれた作品だ。

 

【宗教を巡る四つのタイプの小説】

宗教を素材にした小説には、私見によれば四つのタイプがある。

 

⒈ 宗教の枠組みの中で信仰を問う

 

代表的なのはアンドレ・ジイドの『狭き門』だろう。ヒロインのアリサは最終的に地上での幸福を放棄し、愛しているにもかかわらず主人公のジェロームとの結婚をあきらめてついには命を落とす。

残されたジェロームは──(略)──

 

⒉ 現世的な宗教組織と戦う

 

カルトに入った娘を取り戻そうとする父親が刻苦奮闘する様が描かれた小説は日本でもいくつか書かれている。僕の『水晶の夜』も、こうした作品の一つである。

作品中では伏せてあるが、対象の宗教組織は──(略)──

 

⒊ 神への「反抗」

 

──(略)──ミック・ジャガーをはじめとするロック・ミュージシャンはカミュの「反抗」の思想をパクっているよな、と僕は思っている。僕? はい、僕もパクりました。

 

⒋ 神の実在を問う

 

──(略)──そして、何と言ってもドストエフスキーである。その中でも、『カラマーゾフの兄弟』だ。神の実在を問う最大の問題作がこの長編なのである。

 

【レーゼドラマ『大審問官』】

『カラマーゾフの兄弟』が描くのは────続きはオンラインサロンでご覧ください)

 

 

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