神秘体験をコアに配置した小説を書く 03 オーラ体験について語る 山川健一

──やがて僕は、ほとんど本能的に、たった今自分が見ているのは自分自身のオーラなのだと思った──

 

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「私」物語化計画 2023年12月15日

特別公開:神秘体験をコアに配置した小説を書く 03 オーラ体験について語る 山川健一

さて、今週はいよいよオーラ体験の話を紹介する。

一九九五年の三月、ローリング・ストーンズが来日した。その少し前のことだ。中野区のWIZというホールで、『ルーディーズ・クラブ』というタイトルのイヴェントをやった。

先頃亡くなった友人のパンタをゲストに迎え、三十分ほど僕が一人で喋り、それから彼といっしょに話をし、最後に何曲かをアコースティック・ユニットでいっしょに演奏する。そういうイヴェントだ。

その後、ピアニストの友人を車で送っていった。

やがて僕を襲うことになる体験の端緒が訪れたのは、その帰り道のことだった。

 

【衝撃的だったオーラ体験】

イヴェントもうまくいき、僕は解放感に満たされていた。それから一週間ほどは、書かなければならない原稿もなければ、人前で話したり演奏したりといったこともしなくていいのだ。一人でぼんやり本を読んだり、好きな音楽を聴いたりして過ごせばいいのである。

その不思議な体験に遭遇した時の僕の精神と肉体は、十分にクール・ダウンしていたのである。

時刻は、深夜二時を過ぎ頃だ。都内も、その時間になるとさすがに空いていた。

車はイタリア製のアルファ・ロメオ164Lという、オートマティック車だ。慣れ親しんだ車なので運転はごく簡単である。いろいろ考え事をしていても、体のほうがごく自然に的確な操作をしてくれるといった感じである。

高速道路を降り、一般道路に出て、僕は新宿のひとつ隣りの初台という街にあった仕事場のマンションを目指していた。カー・ステレオで、ピンク・フロイドの『ザ・ウォール』というアルバムを流していた。

僕は、肉体的には自動車の運転という作業をこなしていかなければならないのだが、あるいは適度の緊張感を持って肉体を動かしつづけなければならなかったからこそ、精神的にはぼんやりしていた。

解き放たれていたと言ってもいい。

前方の信号が赤で、右折するためにウィンカーを点滅させて停止した。

その時のことだ。前方左側に、突然、紫とブルーのちょうど中間の色で透明感のある、稲妻のような光が走ったのである。それは一瞬だけ光って消え、だがすぐにまた次の稲妻が現れる。何が起こったのかと驚いた僕は、そのレーザー光線のような光をじっと見つめた。

光はそれこそ稲妻のようにジグザグに折れ、あるいはカーヴを描きながら射す。だが稲妻が空から地面へ、つまり上から下へ向かうのに対し、その光は地面を這うように横へ向かうのだ。

やがて──続きはオンラインサロンでご覧ください)

 

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