10枚の掌篇小説を書くコツ 04 プロット以外に「シークエンス」という概念を導入しよう 山川健一

──カットの集合がシーンを構成し、さらにはそのシーンの集合がシークエンスとなる。そして複数のシークエンスが繋がりを持った時に、物語が完成する──

 

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「私」物語化計画 2023年9月15日

特別公開:10枚の掌篇小説を書くコツ 04 プロット以外に「シークエンス」という概念を導入しよう 山川健一

【シーンの重要性】

あなたが10枚の掌篇小説を書こうする時、二種類のパターンが考えられる。

一つは、まず任意に思い浮かんだシーンを書いてみることだ。ストーリーも何も決まっていない。主人公のバックグラウンドについてもあまり考えていない。

ただ、目の前に海が広がり、眩しい太陽が照りつけ、「私」は永遠と死を感じる──例えばそういうシーンを書く。僕の場合は、このパターンが多い。

まだ全体の構想については何も考えてないとしても、一つのシーンから、三島由紀夫の『真夏の死』のような作品が生まれるかもしれない。それだけ、シーンは大事だということだ。

もう一つは、前から書きたいと思っていた大きな題材の一部分をとりあえず書いてみるという場合だ。

 

《コロナになり、しかし入院もできずに自宅療養し、なんとか快復したのだが前の生活に戻るのは不可能だ──。》

 

《長い恋愛をしてきたのだが、実は恋人には秘密があり、話し合って別れることにした。しかし、そんな秘密があるのなら、なぜもっと早く言ってくれなかったのか──。》

 

《結婚してすぐに子供を授かったのだが、やがてこの子に知的障害があることが判明した。しばらく夫婦で泣き明かし、だが子供に思いがけない「善きもの」があることを発見し、愛情が深まり、気がつくと子供はもう中学生である──。》

 

《若い頃、不良グループ同士で諍いがあり、誤って相手の1人を殺してしまった。犯行がバレることはなく、10年が過ぎた。しかし悪夢にうなされ、アルコールに溺れる日々が続いている。懺悔し、自首すれば救われるのだろうか──。》

 

こうした素材は、長編小説でなければ描けない。この場合も、「説明」することから始めるのではなく、シーンを記述することからスタートすべきである。

長編を書くには、ストーリーではなくプロットを作成する必要がある。これはいつも言っている通りだ。

しかし、そのプロットを作るのが厄介なんだよな──という声があちこちから聞こえてくるような気がする。

実は今、M君から長いプロットを預かっており、この講評をしなければならないのだが、そう簡単なことではない。

仲間の1人がこんなことを考えているのかということを知って頂くために、そして僕の苦労の一端を知って頂く意味でも、その長いプロットの冒頭を引用する。プロットをシークエンス化する方法について考えてみよう──続きはオンラインサロンでご覧ください)

 

山川健一『物語を作る魔法のルール 「私」を物語化して小説を書く方法』

 

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