物語における縦糸と横糸について 01 (小説の作法) 山川健一
それらが渾然一体とした世界を織り成している作品、それを人は名作と呼ぶのだろう──
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「私」物語化計画 2023年5月5日
特別公開:物語における縦糸と横糸について 01 (小説の作法) 山川健一
【宮下恵茉さんの『ひみつの魔法フレンズ』と若松幸太郎君】
連休である。皆さんの中には、旅行に出かけたり、映画を観に行ったりしてる方もいらっしゃるだろう。
今週はお休みにしようかとも思ったのだが、いやいや、旅行中の方には後で読んでいただくことにして、今週も講義テキストを書こう。
2つの事柄をまず報告します。1つは山形から若松幸太郎君がやってきて、渋谷でご飯を食べたことだ。ワインを飲みながら、彼が刊行を予定している物語化計画ブックスの作品集の戦略会議をやった。
幸太郎君はダイエット中ということで、ずいぶん精悍な顔つきになっていた。三島由紀夫ではないが「自分をキャラクター化するために筋トレをやっている」ということだ。ストイックな男である。
作品集は短編を集めたものなので、本のタイトルを決めなければならない。お互いに「3つずつアイディアを出そうぜ」などと言って、頭をひねったのだが、なかなかいい案が浮かばない。継続して幸太郎君自身に考えてもらおうと思う。
もう1つは、宮下恵茉さんの『ひみつの魔法フレンズ』の6巻が出て、このシリーズが完結したことだ。実は送って頂いており、僕は全巻読んでいる。面白い。複数のシリーズをコンスタントに刊行していて、すごいなと思う。
Amazonの内容紹介を引用しておく。
人間界と魔法界、はなれたふたりをつなぐ、トクベツな魔法とは―‥☆
カオルとルオカ、
正反対なふたりのドキドキ友情物語シリーズ、
ついに最終巻!!
6巻あらすじ
カオルのクラスに、
「さやかちゃん」という転入生がやってきました。
カオルから、魔法界の「カヤサちゃん」とそっくりという話をきいたルオカは、
人間界と魔法界のことがさらに気になります。
するととつぜん黒ねこがあらわれ、
ルオカはあるひみつを知ることに。
そのひみつとは……??
若松幸太郎くんの短編集のタイトル。
宮下恵茉さんの魔法フレンズ・シリーズ。
この2つの事柄から、僕が考えたのは、小説における縦糸と横糸のことだ。
若松幸太郎短編集のタイトルは、複数の異なる小説を貫く縦糸を発見することによって良いアイディアが浮かぶだろう。宮下さんの魔法フレンズ・シリーズは縦糸が明確だから6巻も続いたのである。
というわけで、今週から、縦糸と横糸について何回か書いてみたい。
【物語という織物には縦糸と横糸がある】
僕がここで言う「縦糸」とは──続きはオンラインサロンでご覧ください)