散らかった部屋で暮らしていても、原稿は整理整頓しよう(小説の作法) 山川健一
推敲が終わり、第二稿、第三稿と進み、完成稿が見えてきたとする。その時に何をすればいいのか──
次代のプロ作家を育てるオンラインサロン『「私」物語化計画』会員用Facebookグループ内の講義を、一部公開いたします。
ご興味をお持ちの方は、ぜひオンラインサロンへご参加ください。
→ 毎週配信、山川健一の講義一覧
→ 参加者募集中→ 参加申し込みフォーム
「私」物語化計画 2022年12月16日
特別公開:散らかった部屋で暮らしていても、原稿は整理整頓しよう(小説の作法) 山川健一
今週は、基本に立ち返ります。
小説の第一稿が出来上がったとしよう。あなたは、どうしますか? 推敲するのでしたよね?
推敲が終わり、第二稿、第三稿と進み、完成稿が見えてきたとする。その時に何をすればいいのか。
統一すること、揃えることが大事なのだ。
言葉とは本来、雑多でカオスな世界を整理し、一定の方向性を与え、そうすることで、何かしらの意味を取り出してくる機能を持っている。
夜と昼、海と山、生と死。
世界を区別し、分離された世界をさらに統一し、新しい意味を見出そうとする。
時の流れ、自然、人生──といった具合である。
いいとか悪いとかの問題ではなく、言葉には本来、そうした機能が備わっているということだ。小説は言葉の集合体である。したがって、目の前にあるあなたの言語の集合体としての小説自身が、整理され、一定の方向性を与えられ、新しい意味を取り出してくれることを願っているのである。
これに応えるのは、作者の義務だ。
この作業のキーワードが、「統一」「揃える」なのである。なんだか難しいことを言っているようだが、なに、シンプルなことだ。列挙していこう。
【表記を揃える】
同じ小説の中に「僕」と「ぼく」、「私」と「わたし」が混在しているのはまずい。意図的に、例えば「新宿」と「シンジュク」を書き分けるのはかまない。しかし無意識のうちに、漢字とひらがなを混在させてはならないのである。
混在させるなら、一定のルールが──(略)──
【会話の形式】
これは前にも書いたので、重複を避けるが、会話の形式についても、一定のルールを貫くべきである。「」の使い方、改行をどうするかなどだ。これによって──(略)──
【文体の統一】
文体と言うと難しいようだが、「語尾」と考えてもよい。乱暴なようだが、文体にとって最も重要なのは──(略)──
【人称の統一】
よく「同じ作品の中で、1人称と3人称を両方使ってもいいのか」と質問される。同じ章の中に人称が混在しているのは──(略)──
【創作であることを忘れさせる自然さ】
これから書くことは、あくまでも僕の文学観に基づいたことなので、それを強要するつもりはありません。
へそまがりな人は「いいじゃん、別にそんなの」とか「小説とは、エモーショナルな表現なのに、ルールなんか守りたくない」などと感じるかもしれない。
しかし小説とは、読み終えた瞬間にそれが小説であったことを忘れてしまうくらい、自然であるべきなのではないだろうか──続きはオンラインサロンでご覧ください)