KW君の小説に必要なものは何か?(カウンセリング) 山川健一

──

次代のプロ作家を育てるオンラインサロン『「私」物語化計画』会員用Facebookグループ内の講義を、一部公開いたします。

ご興味をお持ちの方は、ぜひオンラインサロンへご参加ください

 

『「私」物語化計画』

→ 毎週配信、山川健一の講義一覧

→ 参加者募集中→ 参加申し込みフォーム

 

「私」物語化計画 2022年9月9日

特別公開:KW君の小説に必要なものは何か?(カウンセリング) 山川健一

【動機と愛の問題》

今週は、実践コースに在籍しているKW君のカウンセリングを行います。

といっても、ご本人から希望があったわけではなく、僕が勝手にアドバイスするのが今回の原稿だ。個人へのアドバイスは多くの場合、他のメンバーの参考にもなるはずです。

「カウンセリング」では、本気でデビューを目指している人達に、どんな具体的なハードルが立ちふさがっているのかアドバイスしていこうと思う。

さて、KW君は物語化計画の最初からのメンバーであり、実は東北芸術工科大学文芸学科の山川ゼミのメンバーでもあった。ということは、もう10年の付き合いということになる。

18歳で入学して来て、最初は二次創作みたいなことをやっていたので、まずこれをやめさせた。次に、長い小説でスケールは大きいのだが、構造が破綻している作品を書くようになった。

そこで僕は「小説を書くのを禁止」にした。小説執筆禁止令である。書くかわりにとにかく文学作品を片っ端から読み、その感想を僕にメールするように指示した。

僕が挙げた小説を片っ端から読み、感想をメールしてきた。ただの感想メールが批評染みてきて、とうとうドストエフスキーの五大長編を読破した。

僕はこの頑固でクレバーな教え子に、「これで小説を書いてもいいぞ」という許可を出した。

彼は長編小説をコンスタントに書くようになった。研究室に来ては、広い窓の向こうに沈む夕日を浴びて、次の作品の構想を語ってくれた。

作品は順調に仕上がっていき、だがいくつかのハードルを超えるのが難しかった。KWが書くのは長編推理小説のカテゴリーに属するもので、殺人事件が起きて刑事が犯行者である主人公を追い詰めていく──という構造のものが多い。

しかしまだ学生の彼には「社会」というものが未知であり、例えば警察組織がどうなっているのか、拳銃を手に入れるために反社会的な組織と接点を持つとして、その組織とは具体的にどのようなものなのかという知識が不足していた。

実はKWと同期のゼミ生はみんな優秀で、物語化計画にもCM、RY、HN、KHなどがいる。他にも百合系で漫画家デビューした「カボチャ」というペンネームの女性もいる。

女性陣は児童文学や子供達を主人公にしたファンタジーや百合系の恋愛を書いていて着実に進歩しているのでいいのだが(Rちゃん、仕上がった? たまには連絡しなさい)、男子はそうはいかない。

長編推理や、KHの場合は時代小説である(Hは今は祖父の伝記を書いているとのこと)。

ここで重要な問題は──続きはオンラインサロンでご覧ください)

 

→ 毎週配信、山川健一の講義一覧

→ 参加者募集中→ 参加申し込みフォーム