新しいスタートラインに立つ 3 SNSのこちら側で知る戦争  山川健一

新しい言葉を紡ぐことが可能なアベレージのラインに自分を引き上げるための具体的な方策を提案しようと思う──

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「私」物語化計画 2022年4月22日

特別公開:新しいスタートラインに立つ 3 SNSのこちら側で知る戦争 山川健一

【そのうちに体調に異変をきたすかもしれない】

ウクライナ政府によると、ロシア軍に包囲されている南東部マリウポリで20日、「人道回廊」を通じて市民を避難させる試みが、ロシア軍の砲撃によりまた失敗に終わったとのことだ。

ベレシチューク副首相はメッセージアプリのテレグラムに、「残念ながら、きょうのマリウポリからの人道回廊は計画通りに機能しなかった」と投稿した。ロシア軍が現地の部隊を統率できず、避難に必要な一時的停戦を順守しなかったと非難している。

在日ウクライナ人の方が、こんなことをツイートしている。

 

 

僕らはロシア軍がもたらし続けているウクライナの悲劇をほぼリアルタイムで「見て」いる。

マリウポリの製鉄所の地下に避難している子供や女性や高齢者などの市民が「人道回廊」で脱出できるかもしれない、それが実行されるとしたら昨夜20時からだった。21時頃、僕は何もできずに、この原稿を書くこともできずに部屋をうろうろと歩き回っていた。

そして今朝、ロシア軍の砲撃で「人道回廊」が機能しなかったという事実をTwitterで知る。

さらにもう一つの重大なニュースが入ってきた。

ロシア国防省が20日、新型の大陸間弾道ミサイル「サルマト」の発射実験を行い、成功したと発表したのだ。日本時間の20日午後9時すぎのことだった。ロシアは北部のプレセツク基地から大陸間弾道ミサイル「サルマト」を発射し、およそ5,700キロ東のカムチャツカ半島にある目標に命中させたのだ。

9時すぎ?

マリウポリの人達が「人道回廊」で避難するはずだった時刻ではないか。ロシアは約束を守らずにマリウポリを攻撃し続け、あろうことか「サルマト」を発射して世界を脅したのだ。「サルマト」は現在配備されている「ボエボダ」の後継として開発され、複数の核弾頭を搭載できる新型ミサイルだということだ。

プーチンはこう言った。

「わが国を脅かそうとする者に考えを改めさせるだろう。ロシアの先進的な兵器開発でも画期的な出来事だ。あらゆるミサイル防衛を突破することができる。わが軍の戦闘能力を強化し、外部の脅威から確実に安全保障を確保し、攻撃的なレトリックに熱をあげてわが国を脅かそうとする者に考えを改めさせるだろう」

プーチン大統領はさらに、

「サルマトの開発には国産の部品しか使われていないことを特に強調したい」と述べ、西側の制裁を跳ね除け兵器の開発を自力で進めていると念を押したのである。

事態は「ロシアによるウクライナに対するジェノサイド」から「新たな冷戦」にレベルを上げた。今後、ロシア軍の動きとこれに対抗するNATOの動きによっては、第三次世界大戦の可能性も排除できない。

馬鹿でかい北朝鮮と、そいつを好き勝手にコントロールするヒトラー以上の独裁者が突如この地球に登場したようなものだ。

 

じつは、『「私」物語化計画』の会員の皆さんの中にも、体調を崩す方が増えている。

「ジェノバの夜の再発見」のレジュメで僕はそれを知る。

僕自身はかなりゲスでタフな方だ。

ま、娘に「父さんぐらいゲスくないと生き残れないのかもね」と言われた時にはそれなりにショックを受け「えっ、俺ってゲスい?」と彼女の顔をまじまじと見返してしまったものだが、今では「俺はゲスいからさ」と居直っている。

だがそれでもダメージを受けているはずだ。

昨夜の21時頃、「人道回廊」でたった今、製鉄所の地下に逃げ込んだ市民は無事に脱出し始めているのだろうか。それともこれまでのようにロシアは逃げようとする市民に爆撃を加え、地上に逃げた市民を撃ち殺しているのだろうか──と考えると、何も手につかない。

まして、新しい小説を書くことなど不可能ではないか。今のところ大丈夫だが、そのうちに体調に異変をきたすかもしれない。

今週はそうならないために、新しい言葉を紡ぐことが可能なアベレージのラインに自分を引き上げるための具体的な方策を提案しようと思う──続きはオンラインサロンでご覧ください)

 

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