《あらすじドットコム》の「どんでんモンスター」を使ってみよう 02 山川健一

大切なことは、『どんでんモンスター』に指示されたストーリーを安易に変更せずに、この枠組みの中でプロットを立てることだ──

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「私」物語化計画 2021年8月20日

特別公開:《あらすじドットコム》の「どんでんモンスター」を使ってみよう 02 山川健一

先週の続きである。『どんでんモンスター』から添削シートが送られて来た。
以下に引用する。

 

【『どんでんモンスター』からの添削シート】

『渋谷の明かりの下の乙姫』

舞台は現代、渋谷。

主人公の浦島太郎は35歳。

 

できるだけ早いうちに紹介すべき登場人物は、主人公「浦島太郎」、偽敵「亀男」、本敵「乙姫」である。

3人の人間関係は乙姫はキャバ嬢、亀男は雇われマスター、浦島は客のバンドマン。しかし、浦島太郎はまだ乙姫の企みには気づいていない。

そして、物語は始まる……。

ある日、浦島太郎のまわりから「『玉手箱』というタイトルのアルバムのデモ」が失われる。

「『玉手箱』というタイトルのアルバムのデモ」がないと大きな問題が発生してしまう。

※その問題とは……

<バンドにとって大切なデモで、それがないとレコーディング出来ない。キャバクラに置き忘れたか盗まれた。>

浦島太郎は大切なものを手に入れるために立ち上がる。

亀男には「『玉手箱』というタイトルのアルバムのデモ」を奪う理由があった。

※その理由とは……

<密かに乙姫と付き合う自分(浦島太郎)を亀男が嫉妬から陥れようとしている。>

浦島太郎は亀男を犯人だと確信して追い詰める。

ところが、亀男は犯人ではなかったのだ!

※その証拠に……

<亀男はバンドの女性シンガーの恋人で成功を願っている。>

そして、真犯人である「乙姫」が本性を現わす。

浦島太郎は亀男を犯人だと思っていたが、実は乙姫が真犯人だったのだ!

乙姫にはどうしても「『玉手箱』というタイトルのアルバムのデモ」を手に入れる必要があった。

※その理由とは……

<乙姫は浦島にダメ男のままでいて欲しい。そうでないと自分が支える意味がなくなってしまう。>

すべての真相を知った浦島太郎は、乙姫と対決して『玉手箱』というタイトルのアルバムのデモを奪い合う。

しかし、乙姫が優位に立ち、浦島太郎は大ピンチに追い込まれる。

そして物語はクライマックスを迎える。

その結末は……

浦島太郎にとって最も大事なのは乙姫を倒すことである。

そこで浦島太郎は『玉手箱』というタイトルのアルバムのデモを手に入れることをあきらめる。

そのおかげで浦島太郎は亀男の協力を得て乙姫を倒すことに成功する。

< THE END >

《物語創作支援ツール》
どんでんモンスター
https://ddms.arasuji.com/

 

【追加の重要な3点】

驚きである!

浦島太郎はデモ『玉手箱』を取り戻すことを諦め、つまりレコーディングとバンドの未来を棒に振ってまでキャバ嬢の乙姫を倒すことを選ぶのである。

マジか? 作者である僕がいちばん度肝を抜かれた。

ま、これは僕がシートを記入する際にはBの《主人公は目的の達成をあきらめる。そして本敵を倒す》を選んだからこうなったわけで、『どんでんモンスター』のせいではない。

しかしそれにしても、主人公はバンドと恋の相手であるキャバ嬢の乙姫の両方を失ってしまうわけで、悲しい結末だとしか言いようがない。

アプリである『どんでんモンスター』のいいところは、こんなふうにクールにシビアにストーリーを構築してくれるところだ。ブレがない。大切なことは、『どんでんモンスター』に指示されたストーリーを安易に変更せずに、この枠組みの中でプロットを立てることだ。やってみよう。

まず、以下の3点を自分で決定し、それを『どんでんモンスター』に指示されたストーリーに反映しよう。以下の3点である。

 

  1. 主人公が抱える欠落とは何か?
  2. 隠された父の発見、もしくは秘密の開示とは何か?
  3. カタルシス

 

1. 主人公が抱える欠落とは何か?

欠落は──続きはオンラインサロンでご覧ください)

 

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