特別公開:「私」をキャラメイクする最高の方法は、インナー・チャイルドと対話することだ 山川健一

登場人物たちのキャラクターを決定する以前に、「私」というキャラをデザインしなければならないのだ──

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「私」物語化計画 2021年7月9日

特別公開:登場人物たちのキャラクターを決定する以前に、「私」というキャラをデザインしなければならないのだ 山川健一

奇想天外なファンタジー小説を書くときにも、手に汗握るエンターテインメントを書くときにも、「私」の存在は無視できない。このことはすでに何度も書いた。

僕らが小説を書こうとするとき、登場人物たちのキャラクター・メイキングをしなければならない。しかし実は、登場人物たちのキャラクターを決定する以前に、「私」というキャラをデザインしなければならないのだ。

僕は自分で考えたこのサロンの名称『「私」物語化計画』がとても気に入っているのだが(自己肯定感の強い男ですみません!)、「私」というキャラクターをデザインすることがすなわち「物語化」するということなのである。

あなたは「私」なんてあえてデザインしたり物語化したりしなくても、自分はちゃんとここにいるのだから問題ないとお考えだろうか?

チッ、チッ、チッ、それが違うのですよ。「私」というものは誰か(何か)との関係によって成り立っている。これを関係の絶対性と言う。

ほんの些細なきっかけでいとも簡単に私は「私」であることをやめてしまう。

朝起きてコロナに感染していたら、虫歯が痛んだら、LSDのシートをぺろっと1枚舐めたら、恋人から別れを告げるメールが届いたら、あなたはもうそれまでのあなたではない。

「私」とは固定的にそこにある存在ではなく、生まれた時点から死のその瞬間まで変化し続ける「精神」と「肉体」の状態のことなのである。

こいつをデザインする。

物語化する。

小説を書くあなたと書かれている主人公の間にも関係の絶対性という原理が発動し、一本の小説が完結した時に、両者──あなた自身と主人公──は「変化」しているはずだ。そこまで行かないと小説を書く意味なんてない。

では、どうすれば「私」をデザインすることが可能になるだろうか。

ヘーゲルは、この世界は諸事象の集合体ではなく、諸過程の集合体である、と考えた。「私」もまた諸過程の一つだと知ることがいちばん大切である。

そして次に僕が提案したいのは、インナー・チャイルドと対話することである。

 

【インナー・チャイルドとは何か?】

インナー・チャイルドはハイアー・セルフの反対の概念で、この二つは深く結びついている。あるいは、インナー・チャイルドはワンダー・チャイルドの反対の概念でもある。

今週はインナー・チャイルドとの対話をマスターしよう。ハイアー・セルフは来週扱います。

インナー・チャイルドとハイアー・セルフというのは、心理学用語なのだろうか。ユングが元型について述べた文章で使ったのが最初なのだろうか。

それとも今やヒーリング用語、ニュー・エイジ用語と言うべきなのだろうか。いい言葉なのだが、その概念はひどく曖昧だ。

僕が読んだ複数の本でも、それぞれ違うニュアンスで使われていて困った。

まずはこの「インナー・チャイルド」の、物語化計画における定義みたいなところから始めよう。

インナー・チャイルドを翻訳すれば、「内なる子供」ということになるだろう。家の中に閉じ籠っている子供という意味ではなく、心の中の子供、というような意味だ。

だが、ここで微妙な問題が生じる。

心の中の子供というのは、「私」が小さかった頃の存在なのか、それとも架空の概念なのかという問題だ───続きはオンラインサロンでご覧ください)

 

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