キャラクターメイキングの技術を磨く 1 ストーリーは楽曲、キャラクターは歌手 山川健一

だが実はそのもっと本質的な階層で、僕らは感動させられているのだ──

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「私」物語化計画 2022年1月7日

特別公開:キャラクターメイキングの技術を磨く 1 ストーリーは楽曲、キャラクターは歌手 山川健一

【ソクラテス宣言】

新年明けましておめでとうございます。日本列島の各地に雪が降り、都内もすっぽりと雪に覆われた。けっこう積もっている。

今年は2022年で、思えば遠くへやってきたものだ。

どんな占い師にも、今のこの世界の状況は、予測出来なかったに違いない。年明けとほぼ同時にオミクロンが猛威をふるい、感染が拡大し、後遺症の深刻さが伝えられるようになった。改憲勢力が大幅に勢いを増し、絶対にしてはならないはずの戦争がリアルに感じられるようになってしまった。

大丈夫かね?

ところで、昨年のナイトカフェで、僕は「ソクラテス宣言」というのをやった。別にソクラテスのような偉大な哲学者を目指すという意味ではない。そんなの無理だし。

ソクラテスに産婆術というものがある。この爺さんは自らを「知を生めない者」と規定し、それは「神が定め給うたもの」であると言っている。

苦労してお産をするのは弟子達なのだ。その弟子達に代わって自分がお産をするわけにはいかない。自分にできるのは、苦しいお産を手伝うことだけだ。

それがソクラテスの産婆術だ。

ソクラテスは、ずいぶんと面白い爺さんだったそうだ。若い人達にも人気があった。彼が町を歩いていると若者が気軽に声をかけ、自然に話が盛り上がる。そこへ別の若者も入って来て、ソクラテスは「それは面白い話だな」などと言ったりする。そう言われた若者は励まされてまた新しいことを考える。

ソクラテス自身は新しい「知」など生み出さない。しかしこの面白い爺さんと話していると新しい「知」が次から次へと自分の口から飛び出てくることに感動し、若者達は彼のそばに居たがった。ソクラテスの方はと言えば、知識をひけらかして威張るようなこともなく、シンプルに若者達に新しいことを教えてもらいたがった。

この逸話を知った時、『「私」物語化計画』で自分が目指すのはこれだなと僕は思ったのだ。

僕はそういう爺さんを目指すので、皆さんは新しい「知」、つまり小説を書いてくださいというのが「ソクラテス宣言」である。今年は、この路線でやっていこうと思う。僕は自分を、皆さんにとっての「鏡」のような装置と規定しようと思うのだ。

人間は一人では何も考えられない。

誰かとの関係の中から新しい「私」が生まれるのだ。

これを吉本隆明は関係の絶対性だと言い、物語化計画ではこの概念を拡大して使っているわけだ──続きはオンラインサロンでご覧ください)

 

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