「怪物ヤケッパチ」と戦うための言葉の力 03 我が父は、マディ・ウォーターズ 山川健一

──完全に神秘を受け入れてしまうと、小説は成立しない。そいつは宗教になってしまうからだ。だが、神秘を拒む小説は、薄っぺらい──

 

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「私」物語化計画 2023年11月24日

特別公開:「怪物ヤケッパチ」と戦うための言葉の力 03 我が父は、マディ・ウォーターズ 山川健一

【香咲弥須子さんとの再会】

神保町のロイヤルホストで、一時帰国している香咲弥須子さんとお茶してきた。物語化計画ブックスで刊行予定の『時には神について考える』という往復書簡の打ち合わせである。彼女はあちこちで講演しており、その合間の再会だった。

話題は、やはりパレスチナにおける虐殺である。

僕のスタンスはご存知の通り、パレスチナの人々に連帯するというものだが、香咲さんはニューヨーク在住で、ユダヤ人やパレスチナ人やウクライナ人の友達が多い。

いろいろ話して、たどり着いた結論は「世界は不可逆的に変化し、もう元には戻らないだろう」ということだ。

僕は「パレスチナ問題はアメリカの国内問題ではないか」と言い、香咲さんは「アメリカはイスラエルに従っている。強いのはイスラエルの方だ」と言っていた。

いずれにせよ、こうして話しているうちにもガザでは子供達が殺されているのだと思うと、久しぶりの再会も沈みがちであった。

世界のメインストリームはユダヤの側である。イスラエルの公式報道に、世界のメディアは追随している。日本もそうだ。

しかし今はSNSの存在が世界中でイスラエルの血塗られた嘘を暴き続けている。

同時に情報を発信し続けているジャーナリストが殺され続けている。午後のコーヒー一杯飲むのも苦しい。

僕が起きてまずやることは、フォローしているガザのジャーナリストの方々の安否確認だ。もう3人亡くなった。

僕がそう言うと香咲弥須子さんは、リアルな友達がもう何人も殺された、と言っていた。

なんという世界なのだろうか。

僕らに何ができるだろうか。

ここで大切なのは、自暴自棄にならずに、まず「私」を癒すことである。「私」を癒すことができなければ、人は表現に向かい合うことができない。

物語論で「私」の構造を明らかにしていけば、僕らは自己を回復することが可能だ──と、僕は確信している。

僕は自分が今、精神的な危機を迎えているのを感じている。もちろん僕だけではないし、「精神的」であるレベルを超えて、パレスチナの人々はイスラエルの空爆や砲撃で生命を失っているのだ。

 

【助言者はストーンズ、父はマディ・ウォーターズ】

物語論、ナラトロジーの法則を簡素化すれば、「欠落」「助言者」「隠された父の発見」ということになるだろう。

これを、僕は再び自分に当て嵌めてみた──続きはオンラインサロンでご覧ください)

 

山川健一『物語を作る魔法のルール 「私」を物語化して小説を書く方法』

 

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