伝わる文章の書き方 01 語彙を増やす(基礎編) 山川健一
小説にしても、エッセイにしてもレポートにしても、わかりやすい、誰かに自分の言わんとすることを伝えられる文章を書くために重要なことが3つある──
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「私」物語化計画 2023年2月17日
特別公開:伝わる文章の書き方 01 語彙を増やす(基礎編) 山川健一
【大切なのはWHATである】
今週からは基礎に立ち返り、伝えたいことをうまく伝えられる文章の書き方を学んでいきたいと思う。
文章教室の類の本はたくさん出版されているが、いちばん大切なことが欠けていると僕を感じる。
それは何か。
物語化計画の皆さんにはもうお馴染みだと思うのだが、「何を伝えるのか」ということがいちばん重要だということだ。伝えるのは「私」以外ではありえない。これは小説でも、エッセイでも、大学のレポートでも、ビジネスにおけるプレゼン用資料でも同じである。
英会話を学ぶときに「駅にはどうやって行ったらいいのですか」とか「トムとケイトは子供の頃からの友達だ」などという例文を言わされ続けるから、いつまでたっても英会話を習得することができないのである。
日本の英語教育はHOWに終始しているが、大切なのはWHATである。どうしても伝えたいことがあるときに、人間は文法の誤りなど気にせずに発語するはずである。
僕はロックが好きだ。
絶対に人なんて殺したくない。
あなたのことを心から愛している。
戦争をやめよう。
こうしたメッセージを誰かに伝えようとする時、英語の文法は、後から僕らを追いかけてくるはずである。
日本語による文章も全く同じ原理で、まず大切なのはWHATである。そいつを突き詰めていけば、「私」に行き当たるはずだ。
MACWORLD Expoにおけるスティーブ・ジョブズのスピーチが感動的だったのは、彼の言葉の中心に明瞭に「私」の存在が感じられたからではないだろうか。
ジョブズとウォズニアックがアップルコンピューターを創設した時、コンピューターはIBMのような巨大企業が独占し社会を支配するものではなく、ごく普通の個人(the rest of us)がそれを使用すべきである──つまりパーソナルコンピューターを作ることがアップルの目標だと考えたのは有名な話だ──(中略)──アップルがこうしたスタート地点を持っている事は忘れてはいけない事実なのではないだろうか。
ビジネスの世界における言葉も文章も、最も大切なのは「私」なのだということを、僕らは肝に銘じるべきである。
まあ、こうした哲学は物語化計画のベースなので、今更繰り返すまでもないのかもしれないが、文章修行の中核にも「私」が存在するのだということを忘れないでください。それを前提に、基礎的なレッスンを紹介していきます。
【語彙力をつけるためのレッスン】
小説にしても、エッセイにしてもレポートにしても、わかりやすい、誰かに自分の言わんとすることを伝えられる文章を書くために重要なことが3つある──続きはオンラインサロンでご覧ください)