リベラル・アーツとしての宇宙論と量子力学 1 アインシュタインの特殊相対性理論 山川健一
小説が宇宙論に接近することは、ゲーテがショウペンハウアーの哲学に惹かれたのと同じように、論理的な必然だったのだと僕は思う──
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「私」物語化計画 2022年7月8日
特別公開:リベラル・アーツとしての宇宙論と量子力学 1 アインシュタインの特殊相対性理論 山川健一
【神秘体験は宇宙の根源とつながっている】
今週から、リベラル・アーツ(一般教養)として、またこんな時代でも小説を書くことは有効なのだということを皆さんに伝えるために、宇宙論と量子力学について何度か書こうと思う。哲学講義の続きは、秋以後に回します。
小説は独立したメディアだが、さまざまなジャンルの知見から影響を受けてきた。ゲーテがショウペンハウアーの哲学から強い影響を受けたのは有名だが、それ以来、多くの作家が哲学的知見や科学的知見を自分の小説を組み立てる力にしてきたのだ。
日本でも三島由紀夫はフロイトの心理学をベースに『音楽』を書き、『豊穣の海』四部作を仏教の輪廻転生をベースに書いた。
大江健三郎は明らかにサルトルの実存主義を踏襲しているし、その後の多くのSF作家、ファンタジーを書く作家達は科学的な成果を小説の中に取り入れている。瀬名秀明の『パラサイト・イヴ』や『BRAIN VALLEY』(ブレイン・ヴァレー)もそうだ。
瀬名さんとは一度対談して意気投合したのだったが、彼は小説中に脳科学、霊長類学、人工知能などの科学知識をふんだんに盛り込み、体外離脱や臨死体験、百匹目の猿なども扱っている。
僕の場合は、日常生活ではおよそ説明することの出来ない不可思議な体験をすることから、宇宙論に惹きつけられていったのである。
体外離脱体験がその出発点だった。
自分のオーラを見ることになった体験。
ジャマイカのビーチでソフトボール大の光の球と遭遇したこと。
セリという名前の妖精との出会い。
奄美の湯湾岳で人間ではない存在、つまり幽霊と出会った体験。
体外離脱とオーラ視は1人で体験したが、ジャマイカの光の球、妖精セリ、湯湾岳の幽霊は友達と一緒に体験し、その後何度も「あれは何だったのか」と話し合った。どの体験もその後本に書いたので、ここでは詳しくは触れない。
いずれにしても、こうした一種の神秘体験は、僕の文学に強い影響を与え続けてきたのである。
ヤマケンが向こう側に行ってしまった──と、突き放さないで下さい。あなたも自分のこれまでの人生を振り返り、そのすべての体験がニュートンの物理学上の法則に則っていたと断言することができるだろうか?
神秘体験としか言いようがない体験があり、でもそれを「そんな気がしただけかも」とか「錯覚かもな」と言い訳することで日常生活を守ろうとしてきたのではないか。
僕は自分の神秘体験から宇宙に興味を持ち、ヘミシンクという音声技術の助けを借りて瞑想したり、宇宙論の本を読むことから、宇宙といわば「交信」しようと努めてきたのである。
体外離脱、不可思議な光の球との遭遇、オーラ体験、ヘミシンク体験を経て、ぼくはこうした一種の神秘体験が宇宙の根源とつながっているのだと結論づけたのである。妖精セリはぼくのガイドでもあり、「妖精と二人で書く」という発想もこうした経緯で生まれた。
小説が宇宙論に接近することは、ゲーテがショウペンハウアーの哲学に惹かれたのと同じように、論理的な必然だったのだと僕は思う──続きはオンラインサロンでご覧ください)