編集者による特別寄稿:新人賞応募原稿はこうしよう

様々な出版社で新人賞の応募原稿を読んできた編集者、3名に緊急取材──

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「私」物語化計画 2020年9月11日

編集者による特別寄稿:新人賞応募原稿はこうしよう

 こんにちは。今回は山川さんからピンチヒッターを依頼され原稿を寄せることになった編集者のNです。山川さんの講義を楽しみにされていた皆さん、すみません……。

 ということで今回は「新人賞応募原稿はこうしよう」と題して、様々な出版社で新人賞の応募原稿を読んできた編集者、3名に緊急取材をお願いしてみました。もちろん編集者のみなさんのお名前、出版社名は匿名ですが、それぞれに豊富なキャリアをお持ちの方々です。

『「私」物語化計画』に参加されている皆さんも、これから応募原稿を仕上げていくかと思いますので、参考にしていただければと思います。

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──まずは、新人賞の応募原稿を読む際に、一番気になるところはなんですか?

第一の前提として、きちんと終わっているかどうか、ということです。もちろん小説になっているかどうか、という点でもあります。完全に自分のことを書いた、自分語りの自叙伝、を送ってくる人もいますが、これは小説になっていないことが多いですね。これは駄目です。書き終わったら、「これはきちんと終わっているか」「伏線が回収されているか」を気にしながら読み返してほしいですね。

まずは見た目でも、一般的に売っている書籍と同じような体裁になっていることが意外に重要ですね。作品の見た目です。

内容によっては、改行やかぎ括弧がない作品もあるでしょう。それが狙いの作品もあります。ただし、読みづらい。読みやすさと作品の狙いのバランスは考えなくてはいけないでしょうね。

「小説を読んだことがない人が書いたんじゃないの」「原稿用紙の使い方が分かってないんじゃないの」と思うような作品もあります。その読みづらさが本当に狙いなのか、ただ配慮不足なのか、それをきちんと考えたうえで、応募原稿を仕上げてもらいたいです。

そのような見た目を気にした後に作品を読んで、世界観や何が書きたいのか、何を伝えたいのか、を精査します。

一番気になるところは登場人物が作者都合で動いているかどうかです。

「普通、人間ってこう動かないでしょ」「こんな会話しないでしょ」というところであっても、話を前に進めたくて、登場人物がすぐ騙されたりしたり、勝手に行動したりする登場人物が出てくると、すごく気になります。

 

──新人の原稿ということで、文章の「てにをは」の間違いなどは気になりますか?

「てにをは」が間違っている作品もあります。もちろん気がつきます。ただし、その間違いは新人賞の応募作品の場合には気にしません。

作品が持っている世界観、作品のスケールの大きさが気になるのであって、単純な「てにをは」の間違いは意外と気にしないものです。

 

──推敲に関して教えてください。

推敲はとても大事です。必ず行ってください。書く期間よりも推敲する期間を長くとる、というのは、ある意味、鉄則です。

きちんと推敲してあるな、ということは応募作を読んでいると分かるものです。

小説世界の中で日付がずれていたり、1カ月の出来事のはずが1カ月では収まっていなかったり。

推敲していない原稿は読めばすぐに分かります。プロでも誤字はありますから、ましてやこれからデビューを目指す人は推敲はきちんとするべきでしょう。

ただ文字面を一生懸命直すよりも──続きはオンラインサロンでご覧ください)

 

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