100枚の小説をどう書くか 01 あなたの人生はあなたが書いた小説を模倣する 山川健一
──100枚以上の小説を書くために、僕らは物語上の一連の連なりを発見し、そいつを自分なりの方法論で緩やかに繋げていくのである──
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「私」物語化計画 2023年9月29日
特別公開:100枚の小説をどう書くか 01 あなたの人生はあなたが書いた小説を模倣する 山川健一
【文学夜話】
秋の夜長である。
今回からは文学夜話みたいな感じで、ゆっくり小説のことを語ってみたい。いよいよ、「100枚の小説をどう書くか」というテーマに挑戦しよう。後半は、今物語化計画ブックスで作品の刊行を予定している、JさんとW君の作品に触れたいと思う。具体的な参考になるだろうと思う。
10枚の作品を書くためには、シークエンスが必要だということをここしばらくは書いてきた。
シークエンスとは、「物語上の繋がりがある一連のまとまり」のことだ。物語は一本の意味のある糸で繋げられている。すべての作品に脈絡があるのだ。
物語上の繋がりがある一連のまとまり──すなわちシークエンスを生み出すのが作家の仕事である。
その前には、プロットの重要性について繰り返し解説した。プロットとストーリーは違う。プロットとは因果関係を表す作品の設計図で、誰かにプロットを話すと「なんで? なんで王様は死んだの?」なんて聞かれる。
ストーリーを紹介すると、「それでどうなったの?」と先の話をせがまれる。
作家にとって大切なのはプロットの方だ。
ストーリーはあくまでも結果なのであって、そいつを生み出すのがプロットだからだ。
さらに、物語化計画のごく初期の頃だと思うが、「書き出しの現象学」ということについて述べた。随分前の話なので忘れた人も多いだろうし、新規会員の方は「なんのこと?」と面食らうかもしれない。これについては『物語を作る魔法のルール』で詳しく解説してあるので、お読みください。
とりあえず、話を進めるために簡単に復習しておこう。
小説を書く方法は無限にある。作家によって異なり、さらに同一の作家の複数の作品は全て別の方法で書かれている。そんな無限の具体例から方法論を抽出するのは至難の業だが、やってやれないことはないのだ。
小説には、「工学的な構築物」という面と「芸術的なエモーションの発露」という側面がある──と、これも隋分前に述べたことだが、僕の基本的な考え方だ。小説は建築物のような構造、工学的な構造を持っており、これを解明する最強のロジックがナラトロジーである。そのナラトロジーも、時代の進行と共に新しくなる具体的な作品に対応するように変化してきたわけだが、『物語を作る魔法のルール』はその最新版である。
もう一つ、小説には「芸術的なエモーションの発露」という側面がある。これをコントロールするのが「書き出しの現象学」と命名した方法論である。
こういうものだ──続きはオンラインサロンでご覧ください)
山川健一『物語を作る魔法のルール 「私」を物語化して小説を書く方法』