伝わる文章の書き方 02 主語を省略する(基礎編) 山川健一
──これらのルールに乗っ取り、可能な限り主語を省略すること。それが日本語としての表現力を磨く第一歩である
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「私」物語化計画 2023年2月24日
特別公開:伝わる文章の書き方 02 主語を省略する(基礎編) 山川健一
【ChatGPTはプロットが書けるか】
本題に入る前に、いま話題のChatGPTについて書いてみる。とは言え、僕にとっては全く未知の代物である。こいつは、インターネット上のサービスなのか、アプリなのか、ということさえわからない。とにかく大変な騒ぎになっていて、小説のストーリーも考えてくれるのだという。
ウィキペディアによると、こういうものらしい。
ChatGPT(チャットジーピーティー、Generative Pre-trained Transformer)は、OpenAIが2022年11月に公開したチャットボット。OpenAIのGPT-3ファミリーの言語モデルを基に構築されており、教師あり学習と強化学習の両方の手法で転移学習されている。
はぁ?
意味がよくわからないのですが。
質問するとテキストで答えてくれるらしい。中学生や高校生がChatGPTを使ってレポートを書いたり、ビジネスマンが企画書を書くのに使ったりしているらしい。このサ
ービスの功罪がよくわからないということで、とりあえず禁止にしている学校も多いとの事だ。
そんな具合におっかなびっくり調べていたら、Mさんからジャストなメールが届いた。無断で引用する。
《ChatGPTを使って、適当にプロットを作ってみました。ここまではやれる時代になったと思うと恐ろしいですね。
ある晩──(略)──
こういうAIで作られた作品が今後、大量に新人賞に送られて来ると思います。それと戦って僕たちは勝ち抜いていかなければならないですね。》
えーっ、こんなに複雑なプロットをAIが書いてくれるわけ? 驚きである。「六本木」とか「街を支配する謎めいた存在」というデータはあらかじめ松君が入れたのだろうか。今度のナイトカフェの時にでも、彼にレクチャーしてもらいましょう。
AIトークとかAIチャットアプリとかいろいろあるようだが、どれが使いやすいのだろうか。「物語化計画の来週の講義テキストを書いてください。テーマは、主語を可能な限り省略し、美しい日本語の小説を復活させるにはどうすればいいのか。その文法的な根拠も示すこと」なんて指示するとAIが書いてくれるのかね?
書いてくれるんだろうな。しかも、今週の僕の原稿よりもわかりやすく正確に。ジョバンニ、俺もう引退した方がいい?
【表現力を上げるための省略】
ChatGPTの話をした後、いきなりアナログに回帰するわけだが、なんとなく「やってられないよなぁ」という雰囲気が、僕の仕事部屋には漂っている。
まぁ、ここは気を取り直して話を進めたい。
誰かに自分の言わんとすることを伝えられる文章を書くために重要なことが3つある、と先週書いた。
語句を選んで使う力(語彙力)、できごとや様子などを的確に表現する力(表現力)、ものごとを筋道を立てて述べる力(論理力)だ。
今週扱うのは表現力である。
表現といっても、あまりにも幅が広いので、ポイントを紹介する──続きはオンラインサロンでご覧ください)