「私」分割式キャラクターメイキングの方法 4(最終回) 「私」キャラクター化ノートを制作しよう 山川健一
──こうして造形されたキャラクターが、本当の我々なのである
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「私」物語化計画 2022年5月27日
特別公開:「私」分割式キャラクターメイキングの方法 4(最終回) 「私」キャラクター化ノートを制作しよう 山川健一
【時間軸を遡り、そして現在に帰ってくる】
今週は、時間軸を遡る。「私」を、過去のある時点で三分割するのだ。先週書いた、トム・ソーヤーとハックルベリー・フィン、さらに三番目の存在として黒人奴隷のジムに分割する──これと、基本的には同じ作業である。
ただし、あなたがこれまで生きて来た時間の、大切な時点を複数ピックアップする。
こんな感じである。
1. 自我が発生する前、例えば小学校5年生の自分を三つに分ける。トムとハックとジム──のようにである。
2. ジェノバの夜に立ち返る。
あの衝撃的な夜における「私」を三分割する。
あなたの中でどんな──(略)──その手助けをしてくれたのはどんなキャラだったのか?
3. 現在の自分を三分割する。
男性と女性と「それ以外の存在」に分けてもいいし、トムとハックとジムに分けてもいい。
大切なのは──(略)──そんなふうに生きている「私」を分割してください。
4. 三つの時点での「私」の立体的な像が浮かび上がったはずである。これは最低限三つという意味だ。四つでも五つでもよい。
それを、比喩的な言い方になるが──(略)──その「繋がり」「脈絡」を発見する。
ボードレールふうに、それを「意識の流れ」と呼んでもいい。
人間というのは不可思議な存在で、小学校5年の時の自分と今の自分は全く別の存在でありながら、少年時代の自分がいなければ今の自分は存在しないのである。つまり脈絡のある糸で繋がっている。
男性と女性と「それ以外の存在」と言ったが、僕ら自身は男から女へとグラデーションのように存在しているのであって、固定的に性別を決めるのは不可能なのだ。
僕ら男が母親のような愛情を持つこともあれば、女性が父親的な愛情を子供に注ぐこともある。
さらにトムからハックへのグラデーションとして「私」は構築されている。
それらすべてを合わせ持った巨大な湖のような存在が「私」なのである。つまり「私」とは個々のミュージシャンを繋いだローリング・ストーンズなのだ。
あなたは既にそれを知っているはずだ。
これまで、僕は何人かの有名な作家に小説のモデルにされたことがある。男の作家が二人、女流作家が三人。その度に、怒ったわけではまったくないが「太平洋のように広く深い俺を芦ノ湖程度に書きやがって」とは思った。僕は自分の内部が巨大な存在であることを知っていたからだ。もちろんあなたも同じである。
ここまで出来たら、《「私」キャラクター化ノート》を制作しよう──続きはオンラインサロンでご覧ください)