『ソフィーの世界』で学ぶ哲学とファンタジー 3 小説にロゴスを埋め込む方法 山川健一

ミュトスが輝くためには、コンピュータのOSのようなロゴスが重要だということを、僕らは学ばなけれならない──

 

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「私」物語化計画 2021年9月17日

特別公開:『ソフィーの世界』で学ぶ哲学とファンタジー 3 小説にロゴスを埋め込む方法 山川健一

【エヴァと東京ドールズはちょっと──】

『エヴァンゲリオン新劇場版』を順番に観て、4部作の最終作『シン・エヴァンゲリオン劇場版』も観た。エヴァは中途で終わったままだったのだが、『シン・エヴァンゲリオン劇場版』でちゃんと完結したという話なので、これは観ないとなと思ったのだ。

書こうか書くまいか迷ったのだが、ここはクローズドな場所なので思い切って書くが──

─ 中略 ─

 ある若い会員の方もこの映画を観て、感想をメールしてくれた。

─ 中略 ─

なるほど。そういう観方もあるのか。

父の不在、確かにこれが重要なのだろう。

次はゲームの話題。『プロジェクト東京ドールズ』という、スクウェア・エニックスより配信されているスマートフォン用ゲームアプリがこの10月に配信停止になる。2017年からサービス開始ということなので、4年続いたことになる。

このゲームは、美少女達が一度死に、「ドールズ」という戦士として復活して敵と戦うというストーリーで、彼女達の死因に関わる記憶、いわばトラウマを探っていくわけだ。スクエニというと思い出すのは『ファイナルファンタジー』だが、あれと同じ鬱々とした、ダークでヘヴィな世界観が特徴だ。

その肝心の少女戦士の──

─ 中略 ─

──それは、あまりにも内向的で自閉的な作品の中核をなす哲学が古くなってしまったからではないだろうか。

エヴァの自閉的なシンジよりも『東京リベンジャーズ』のノーテンキだが頑張り抜く花垣武道の方が、『プロジェクト東京ドールズ』のヒロイン像よりも『Fate/Grand Order』に登場する力強いサーバント達の方が圧倒的にリアルなのだ。

時代状況がここまで惨憺たる有様になってくると、もはや戦う以外に脱出する方法はない。

僕がここで何を言いたいかと言うと、漫画にしろアニメにしろゲームにしろ、「哲学」(ロゴス)が重要だということだ。哲学が「今』を反映していないと、出来上がった作品はグダグダになってしまう。

エヴァや東京ドールズに欠けているのは「父」の哲学である。

決して我田引水ではなく、「隠された父の発見」が物語にとっていかに大切かということだろう。

というわけで、先週に引き続き『ソフィーの世界』を教科書に哲学の解説をします。

 

【ヘラクレイトスによるロゴスの登場】

B.C.500年。哲学史に、偉大な巨人が現れる。それがヘラクレイトスである。

万物は流れ去る──それが彼の中心的な考え方だ。国がある、人間がいる、木がある、石がある。だが、そんなものは、何百年も経てば、消え去ってしまう。

 

「すべては変化し続ける。永遠に不変の存在なんてありはしない」

『ソフィーの世界』より

 

ヘラクレイトスはそう考えた。それこそが、「万物の絶対の法則」である。これは、聞いたことがあるよね? そうそう、日本人に馴染み深い「諸行無常」にきわめて近似した発想ではないか──続きはオンラインサロンでご覧ください)

 

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