現役編集者による夏季特別寄稿2:浦賀和宏氏インタビュー

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『 毎回、山川さんのテキストを楽しみにされている皆さまには本当に申し訳ありません。

前回と今回の2回は、山川さんが夏休みで、私・永島賞二がテキストを配信いたします。

第2回目の今回も、私が担当している、第一線で活躍されている作家の方に、インタビューをお願いし、作家志望の方へのアドバイスなどを聞いてみました。

 

今回ご登場いただくのは、どんでん返しの天才と評されるミステリー作家の浦賀和宏さんです。』

 

ご興味をお持ちの方は、ぜひオンラインサロンへご参加ください

 

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「私」物語化計画 2019年8月16日

特別公開:現役編集者による夏季特別寄稿2:浦賀和宏氏インタビュー

毎回、山川さんのテキストを楽しみにされている皆さまには本当に申し訳ありません。

前回と今回の2回は、山川さんが夏休みで、私・永島賞二がテキストを配信いたします。

第2回目の今回も、私が担当している、第一線で活躍されている作家の方に、インタビューをお願いし、作家志望の方へのアドバイスなどを聞いてみました。

 

今回ご登場いただくのは、どんでん返しの天才と評されるミステリー作家の浦賀和宏さんです。

<浦賀和宏氏プロフィール>
1978年神奈川県生まれ。98年に「記憶の果て」で第5回メフィスト賞を受賞してデビュー。ベストセラーになった『彼女は存在しない』ほか、『ファントムの夜明け』『彼女の血が溶けてゆく』『彼女が灰になる日まで』『Mの女』など多数の著作がある。

Amazon.co.jp 浦賀和宏氏 著作一覧 https://amzn.to/2yZ9pQm

 

浦賀和宏『記憶の果て』

浦賀和宏『記憶の果て』

浦賀和宏『彼女は存在しない』

浦賀和宏『彼女は存在しない』

浦賀和宏『ファントムの夜明け』

浦賀和宏『ファントムの夜明け』

浦賀和宏『彼女の血が溶けてゆく』

浦賀和宏『彼女の血が溶けてゆく』

浦賀和宏『彼女が灰になる日まで』

浦賀和宏『彼女が灰になる日まで』

浦賀和宏『Mの女』

浦賀和宏『Mの女』

 

 ――浦賀さんとは2001年の「彼女は存在しない」からのお付き合いです。まずは小説家になったきっかけを教えてください。

 

昔から講談社ノベルスが好きで、特に綾辻行人さんや京極夏彦さんなどの作品がとても面白いなあ、と好きで読んでいました。

綾辻さんのインタビューなどを読んでも、「本格ミステリーはすごい」「本格ミステリーこそが面白いんだ」という言葉があって、どんどん本格ミステリーを読み込んで好きになっていったんです。高校時代ですかね。

その頃にメフィスト賞を受賞した、ある作品を読んだんです。それまでメフィスト賞の存在を知らなかったので、「ああ、そんな賞があるんだ」と思ったのですが、その受賞作が、あまり面白くなかったんです。

本格ミステリーがすごいと思っていた私からすると、その受賞作より面白い作品が自分なら書けるんじゃないかと思って書き始め、送ったところ、メフィスト賞を受賞して本になった、という流れでした。18歳の時ですね。

 

 ――最初に書いた長編がそのままデビューというのはすごいですね。それがデビュー作の「記憶の果て」ですね。

 

子どものころから、エラリー・クイーンなどの海外ミステリーや横溝正史さんなど、たくさんのミステリーを読んできました。そんな時に、綾辻さんのデビュー作『十角館の殺人』に出会ったんですが、その作品は登場人物がみんな有名なミステリー作家なんです。だからページを開くと、「エラリーはこう言った」「アガサはこうだ」「カーはどうした」などと書いてある。「ああ、みんな知っている名前だ。面白いなあ」と感じて読んでいったら最後に、「こんなトリックがあるんだ!」と驚かされたんです。

そこから綾辻さん、京極さんなどの作品を読むようになって。それこそずっとミステリーに触れていたから、何となくですがミステリーのロジックや展開のさせ方が分かっていたんじゃないでしょうか。

 

 ――本格ミステリーがずっと好きだったんですか?

 

ミステリー全般が好きでした。でも衝撃を受けてから綾辻さんのシリーズ作品を全て読み、そこから歌野晶午さん、法月綸太郎さん、我孫子武丸さん、島田荘司さんなどの作品をすべて読んでいましたね。本来なら島田さんを読んでから他の方の作品を読むんでしょうけど、私は逆でした。やはり島田さんが一番凄かったですね。

 

 ――正直に告白すると、私は本格ミステリーの良い読者ではないと思うんです。確かにロジックやトリックがすごいのでしょうけど、人間ドラマとしてきちんと読めない作品がある気がしていて……。

 

そういう作品があることも事実でしょうね(苦笑)。私もある作品を読んだときに、「ミステリー的な記号が並んでいるけど内容的には本格っぽくないな」「ロジックは上手いけど記号だけ出しているな」と感じたことがありました。

その点で最近気づいたことがあります。それは本格ミステリーの作家は社会人の描写が苦手なのでは、と。私もそうですが、学生時代にデビューして社会人経験がない人、就職していない人が多いんです。だから大学生が主人公の作品が多かったりするのかもしれませんね。

登場人物が何をやって生計を立てているのかが分からないような設定が多かったりするのも、読者との間に壁を作る一因かもしれない、と。

大人になって過去の作品を読むと、普通のサラリーマンとか社会人が出てこないことに違和感を抱くことがありますから。

本格ミステリーが出てきたときに、「人間が描けていない」という批判や指摘がありましたが、それはつまり「社会人が描けていない」ということに繋がる気がします。

 

――そんな浦賀さんの作品を、私は数多く担当させていただいていますが、実は今でも原稿を頂戴した際にいつもトリックやどんでん返しにびっくりするんです。今日は単刀直入にお聞きします。どうやって作っているんですか?

 

笑笑。単刀直入ですね(笑)。

 

 ――今まで明かしていない創作上の秘密を、このオンラインサロンだけで是非ともお聞かせください(笑)

 

そうですね……たとえばドラマの「相棒」などを観ていると、前半にチラッと出ている奴が犯人だったりするパターンが多いんです。

そういうパターンを認識するところからがスタートですね。

実際の創作の際には、私は最初に……(特別公開はここまで、続きはオンラインサロンでご覧ください)

 

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