《あらすじドットコム》の「どんでんモンスター」を使ってみよう 03 短編連作を構築しよう 山川健一
プロットを書く上で注意しなければならないのは、起承転結 ある。そして、実は「起」の中にも起承転結は存在しているのである──
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「私」物語化計画 2021年8月27日
特別公開:《あらすじドットコム》の「どんでんモンスター」を使ってみよう 03 短編連作を構築しよう 山川健一
ローリング・ストーンズのチャーリィ・ワッツが亡くなった。まだ80歳ちょうどだ。発表されてはいないが、多分以前患った咽頭がんが転移したのではないか。ロンドンの病院で家族に見守られながら静かに亡くなったとのことだ。
僕にとって、これは相当にショックである。
ロッカーは若くしてドラッグや事故で死ぬケースが多かった。ストーンズのブライアン・ジョーンズにしてもそうだ。しかしとうとう高齢のロック・ミュージシャンが病気で亡くなるステージに差し掛かったのである。
ジャズ出身のチャーリィ・ワッツのスネアは、後からビートを追いかけていくような気配があり、それがストーンズの音楽の秘密だった。間違いない。そのチャーリィが逝ってしまい、それでもストーンズは秋のツアーを行うはずだが、そいつはもうローリング・ストーンズではないのだ。
その数日前、今月17日には作家の高橋三千綱さんが肝硬変と食道がんのために死去した。73歳って若すぎる。僕がデビューして『群像』編集部の方に最初に紹介して頂いたのが高橋三千綱さんだった。5つ年上の三千綱さんに呆れるほど何度も新宿を連れ回してもらった。
青春小説『グッドラック』は鮮烈だった。
中上健次さん、つかこうへいさん、立松和平さんも今はもういない。
デヴィッド・ボウイもいない。
忌野清志郎もいない。
なんだか「世界」そのものが、終わっていくような気がする。老いたミュージシャンや作家に限った話ではない。試しにSNSで「コロナ 遺書」で検索するといくつもの衝撃的な文章や動画がヒットするだろう。
あ、気の弱い人はやめておいてね。
死と背中合わせの時代を僕らは等しく生きているのだ。
さて、気を取り直して今週の講義である。
【入子構造の起承転結】
ぴこ蔵師匠が開発した物語創作支援ツール 、「どんでんモンスター」を実際に使って僕が試みに『渋谷の明かりの下の乙姫』という小説のプロットを作ってみたわけだが、これはあくまでも短編小説である。長編小説はどうしたらいいのかということを考えてみたい。
プロットを書く上で注意しなければならないのは、起承転結である。
そして、実は「起」の中にも起承転結は存在しているのである。
- 起
・起
・承
・転
・結 - 承
・起
・承
・転
・結 - 転
・起
・承
・転
・結 - 結
・起
・承
・転
・結
──という入子構造になっている。
ちなみに、新規会員の方のためにも繰り返しておくが、物語化計画版の〈起承転
結〉は以下のようになっている。
- 「起」 欠落/欠如の存在、旅立ち セパレーション
- 「承」 通過儀礼 イニシエーション
- 「転」 助言者の出現 隠された父の発見/秘密の開示
- 「結」 帰還 リターン(カタルシス)
この構造を利用し、一度完成したプロットをさらに細分化して「どんでんモンスター」に入力してみよう。長編小説の構造が出来上がるはずだ。
【必殺、短編連作】
物語化計画の会員の皆さんの悩みの一つに「短編は書けるのだが、長編が書けない」というものがある。
よくわかる。
僕もそうだった──続きはオンラインサロンでご覧ください)