特別公開:キャラクターメイキング編 主要登場人物3人以外はポップに構築する 山川健一

助言者のキャラクターが設定出来れば、あなたの小説は魅力的に膨らむはずである──

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「私」物語化計画 2020年8月21日

特別公開:キャラクターメイキング編 主要登場人物3人以外はポップに構築する 山川健一

1週間夏休みをいただき、充電と言うほどでもないけれども、調べ物に時間を費やした。

夏休み期間中に、会員のみなさん何人かからメールをいただいた。まだすべてに返事が書けているわけでは無いのだが、まだ届いていない方は順次返信していくのでしばらくお待ちください。

課題の小説を送ってくる方も多いが、むしろ「仕事の態勢を立て直すのが大変なのでこのところ小説が書けません」というメールが多かった。

前にも書いたが、今はCOVID-19の第2波に襲われているわけで、いちばん大切なのは決して大袈裟ではなく「生き延びること」だ。

ウィルスに感染しないように最大限の注意を払うこと。

もう一つはそうした新しい生活の中で家計をどうやって支えていくのかを考えなければならない。

そういう時期なので、小説が書けない自分を責めてはいけない。ファイティングポーズを整え、もう一度戦えるようになるために、環境整備することがとても大事だ。

会員の何人かの方々は、資格試験にチャレンジしようとされている。これはとても良い。日本の企業社会が大きく様変わりしている。航空会社や広告代理店や私立大学が倒産しかねない状況である。

 

(中略)

 

1冊の本を出す。それはかつてないほど大きな冒険なのだ。もちろんだからこそやりがいもあるわけだが。

そんな時に何か資格を持つのはとても有効な方法だと僕は思う。何をやっていても、小説は書ける。

さて、前置きが長くなったが講義に戻りたいと思います。

 

【物語における不定項と定項】

キャラクターメイキングにおいて、主要登場人物3人は「若き日をたぐる」モダニズム的な方法で作る、というところまでやった。「行為者」「認識者」「敵対者」を設定する──というところまでいった。

小説を書くには最低でも3人の主要人物が必要で、この3人はあくまでも「私」を分割した分身としてモダニズムで構想しなければならないということだ。

モダニズムというのは近代主義という意味で、あなたも田山花袋や夏目漱石、谷崎潤一郎や川端康成、三島由紀夫や太宰治などと同じ方法でやらなければならないという意味でもある。

越水利江子さんの「若き日はたぐれば繋がっていた」という言葉をもう一度思い出そう。登場人物は勝手に作るのではなく、若き日をたぐらなければならないのだ。

よく、このシートの手順に従えば簡単にストーリーが出来て小説が書けます──というような入門書がある。それがまったくの間違いだとは僕は言わない。ただし、それには「コアになる3人のキャラクターをあなた自身の過去から手繰り寄せることが出来ていれば」という前提が必要だ。

そうでないと、単なるお話になってしまう。

「行為者」「認識者」「敵対者」を設定すると考えると難解かもしれないので、ここは「主人公」「バディ」「影の存在(シャドウ)」でもいい。

これらはウラジミール・プロップが言った「不定項」である。つまり変更可能なもので、現代小説の場合、この「不定項」にオリジナリティが存在する。

この大切なキャラクターを若き日をたぐりよせて構築することであなたにしか書けない小説が展開可能となる。

次に必要なキャラクターが、物語論に則して大雑把に言えば「助言者」ということになるのだが、ここで《物語論から学ぶ3 プロップが『昔話の形態学』で提示した機能とは何か?》の回を思い出して欲しい。よく覚えていないという方はまだ読めるはずだ。

ちょうど1年ぐらい前の講義原稿だ。

ウラジミール・プロップは、ロシアの魔法昔話に現れる要素を定項と不定項に分けて考えた。不定項というのは、それぞれの物語によって異なる要素だ──という話なのだが、覚えてますか?

主人公やサブの登場人物などのキャラクター設定、あるいは住んでいる場所や時代など個別の事柄は全て不定項だ。

では、物語によって変わらない定項にはどんなものがあるだろうか。

それは人物の──続きはオンラインサロンでご覧ください)

 

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