特別公開:課題図書、太宰治「メリイクリスマス」の構造分析2

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今回は、2018年末に山川健一から出された課題図書、太宰治「メリイクリスマス」について、その構造を分析する第二回を冒頭のみ掲載いたします。ご興味をお持ちの方は、ぜひオンラインサロンへご参加ください

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「私」物語化計画 2019年1月4日

特別公開:課題図書、太宰治「メリイクリスマス」の構造分析2

新年の第一回目は、前回出しておいた宿題の解答だ。

太宰治「メリイクリスマス」における「隠された秘密の開示」と「力学の転換」とは何かについて考察すること、というのが宿題だった。

最初に答を書いておきます。

「隠された秘密の開示」
答 母が広島の空襲で死んだという事実。

「力学の転換」
答 うなぎ屋の屋台で小串と酒を三人分注文する箇所。

 

【隠された秘密の開示とは何か】

いきなり「隠された秘密の開示」と言われて面食らったという人も多かったようだが、これは推理小説で言うならば動機に相当する。

小説全体のコアになるものであり、それがなければ作品が成立しない事実、すなわち「秘密」だ。

読者はストーリーの先を楽しみにして小説を読んでいく。その興味をひっぱっていくものが秘密であり、秘密の内容を知りたいと思って読んでいくわけだ。そんな読者が満足できる秘密の開示がないと、「なんだよ。読まなければよかった」ということになってしまいかねない。

どんなにトリックが緻密に描かれていようと、人物描写が巧みであろうと、犯人の動機にシンパシィを感じられなければ推理小説は成立しないおそれすらあるのだ。

太宰治の「メリイクリスマス」では、伏線として「女好きのだらしがない作家」のだめさ加減がこれでもかと言うくらいに、あるいはこれはユーモア小説なのかと思わせられるくらい……(特別公開はここまで、続きはオンラインサロンでご覧ください)

 

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