キャラクターメイキングの技術を磨く 6 『コウペンちゃんのショートストーリーズ』を解析しよう 山川健一
ゆるい設定で、肯定的で優しいキャラクターは普遍化されるのだ──
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「私」物語化計画 2022年2月11日
特別公開:キャラクターメイキングの技術を磨く 6 『コウペンちゃんのショートストーリーズ』を解析しよう 山川健一
今週は、キャラクターについての話の続きで、1冊の本を紹介したい。これは──僕の勝手な推察だが──実質的に楠章子さんのプロデュースによるアンソロジーである。アンソロジーといっても、恋愛小説の短編連作とか、音楽小説のシリーズとか、そういうものではない。
コウペンちゃんというキャラクターを主人公に複数の作家が書いたショートストーリーである。
コウペンちゃんは、イラストレーターの「るるてあ」さんが創作した、ペンギンのキャラクターだ。2017年4月にるるてあさんがTwitterに投稿した、「出勤してえらい!」という台詞とともに描かれたペンギンのイラストが始まりだとされている。これは後に縫いぐるみにもなった。
イラストには日常のささいな行動を全力で褒めてくれる台詞が多いため、「肯定」ペンギンという意味もあるのだとされている。
人気が爆発し、スパイラルキュート社が窓口となって商品化が進み、書籍化、コラボカフェ、企業とのコラボレーション等を実現し、2019年2月時点で50億円規模の商材となったのだそうだ。1500種を超えるグッズが発売され、Nintendo Switchの『いっしょにあそぼ~コウペンちゃん』ではメインキャラ全員にボイスがつくようになった。
今回紹介する『コウペンちゃんのショートストーリーズ あしたもはなまる』(学研プラス)もそんな商品の一つとして企画されたのだろう。
実はアメーバブックス新社をやっていた頃、『Kiki & Lala Dreamy Diary』という本を出したことがあり、もちろんキキララはサンリオの有名なキャラクターだ、その頃はサンリオのクリスマスパーティに招かれたり、頭の中がキラキラしていたのを懐かしく思い出す。直接の担当は、その後旅作家になった小林希だった。
話を戻す。
本書に小説を寄せているのは楠章子さんご自身の他、東北芸術工科大学の文芸学科の卒業生もおり、僕のゼミの出身者も複数名含まれている(楠さん、ありがとうございました!)。
分かりやすくするために、Amazonに掲載された内容紹介を引用する。ちなみに、小林希と同じようにアメーバブックス新社で編集をやっていた女性が今はAmazonにいる。
るるてあ『コウペンちゃんのショートストーリーズ あしたもはなまる(5分後の隣のシリーズ)』(学研プラス)
──(中略)──
コウペンちゃんの世界の主な登場人物は、以下の通りである。
──(中略)──
さて。
こうしたキャラクターの大きな特徴は──以上がここまでのまとめですが、今後も続きます。