特別公開:小説のタイトルをどうつけるか──6つの必殺技 山川健一
1本の小説のタイトルを付ける時に、作家は生涯的なテーマをそこに込めなければならないのだ──
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「私」物語化計画 2020年11月27日
特別公開:小説のタイトルをどうつけるか──6つの必殺技 山川健一
【タイトル道場】
他は上手に書けているのに、二つ、うまく行っていないところがあるということを先週書いた。結末部分と表題だ。最後と最初が難関なのだ。
前回は結末部分の書き方を講義したので、今回は表題だ。つまりタイトルである。
すべての物語は、「欠落」から始まらなければならない。そして、タイトルは、1行目のさらに前にある。つまりタイトルこそが作品全体の「欠落」を示していなければならないのだ。
作品のタイトルをつけることに無自覚な人が多い。これは学生でも『「私」物語化計画』の会員の皆さんも同様である。これからデビューする人は、書店に本が並んだ時に誰もあなたの名前を知らないのだから、作品名は大事なのだ。
とは言え、頑張ってはいるのに、しかも本文はよく書けているのに、タイトルがダメだなぁというケースが多く、これは改善しなければならない。
推薦作にしても、タイトルにダメ出しして再考してもらうことが多い。しかし、何度も「まだダメです。新しいタイトルを考えてください。僕なりのアドバイスをすると──」ということでやり直してもらうと、かなりブラッシュアップされてくる。
ここは会員制のサイトであり、いわば道場なので、たとえば──ということで推薦作のタイトルの改善の具体例を見てもらおう。
(『「私」物語化計画』会員のお名前とタイトルはオンラインサロンのみで公開)
如何だろうか。かなり良くなっていると僕は思うのだが。
【6つの必殺技】
小説のタイトルにせよ歌のタイトルにせよ、きわめてエモーショナルなものであり、ある種キャッチコピーみたいな側面もあるので、これを論理的に学ぶのは難しい。しかし、やってみよう。
これは【小説執筆上のハック】でも触れたが、いいタイトルをつける方法の一つは、正反対の言葉を連結することだ。「冷たい太陽」「優美な死体」などである。
もう一つ、動作を取り入れる方法もある。「三歩下って左へ」などだ。
呼びかける方法もある。「振り返らずに走れ」とか。
いずれにせよ、タイトルとはレトリックなのだ。レトリックの技術を磨かなければ、いいタイトルをつけるのは難しい。
いちばんいけないのは、内容の説明になっているタイトルだ。あるいは、作者が伝えたいことをそのままタイトルにするのもNGだ。
いいタイトルの条件を、いくつか紹介しておこう。
- 切なく悲しいタイトル。
- 動きがあるタイトル。
- 映像が目に浮かぶ、フォトジェニックなタイトル。
- ワクワクするタイトル。
- どっしりとして、イメージの広がりがあるタイトル。
- メタファーとしてのタイトル。
(各項目の解説はオンラインサロンにて)
以上、6つの条件を紹介したが───続きはオンラインサロンでご覧ください)