特別公開:特別編・長い小説を書くために3 すべてのブロックを悲しみで繋ぐこと 山川健一
──これが、短時間であなたの小説をブラッシュアップする裏技だ
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「私」物語化計画 2020年10月9日
特別公開:特別編・長い小説を書くために3 すべてのブロックを悲しみで繋ぐこと 山川健一
今週はもう一度、悲しみについて書く。
来週はホラーについて書き、それからキャラクターメイキングに戻る予定です。
実践コースの4人の方からまとまった原稿が届き、そのうち3名が『群像』新人賞に応募の予定で、1人は既にプリントアウトして郵送したそうだ。
2人は完成まであともう一歩のところまで来ている。締め切りが10月15日なので、間に合うかどうかギリギリのところだが、何とか間に合わせて欲しいと思っています。
1人は以前、予選突破までは行ったので、次の『文藝』や『すばる』ではなく『群像』がいいよとアドバイスしたところだ。
原稿をフィニッシュするための直前のアドバイスとして、今回の講義原稿を書きます。必ず他の会員の皆様の参考になると思うので、お付き合いください。
【必殺の裏技】
長い原稿をここまで書いた会員なので、文章はしっかりしており、レトリックも光っている。『「私」物語化計画』で小説の構造については学んで来ているので、マトリックス──設計図もちゃんとしている。
つまり一つのブロック(章とか項目)はしっかり書けている。
では、足りないのは何か?
それは「何を書きたいのか?」ということだ。
「健さん、今更そんなこと言われても対応できないよ!」という声が聞こえて来そうだが、これが出来るんだよね。
その必殺の裏技を教授する。
結論を箇条書きにする。
- すべてのブロックを悲しみで繋ぐ。
- 「悲しい」と直接書くのはもちろんNGで、これを具体的な「物」で象徴させる。
この方向で推敲すること。
その理由を書く。
作家には書きたいことがたくさんある。「何を書きたいのか?」と10人の作家に問えば10通りの答えが返って来るだろう。しかし、すべて小説は悲しいのである。面白うてやがて悲しき落語かな──という言葉があるが、小説も同じである。
なぜ悲しいのか?
それはすべての人間が老いるからだ。老いていき、やがて死ぬ。
脱線するが、今日の昼間、幻冬舎の見城徹氏から電話があった。久しぶりの電話だったので、誰か共通の友達が亡くなった知らせかなと思いドキッとした。
「なに?」と僕。
「なに、じゃないよ。君の方が電話をくれたからコールバックしたんだよ」
「えーっ、そうなの? ごめん、それ誤発信」
iPhoneはたまに誤発信してしまうことがあり、僕の誤発信はどういうわけか見城徹氏か越水利江子さん宛のことが多い。そのせいで、iPhoneはやめてくれと見城さんに言われたこともあった、
前に深夜の山形から越水さんに誤発信してしまったことがあり、
「これ、誤発信でしょう?」と言われ、
「いやいや、越水さんの声が聞きたくなったからかけたんだよ。夜中にごめんね」と雪道を歩きながら誤魔化したことがあるが、越水さん、その節はすみませんでした。
見城さんとは今日、15分ぐらい無駄話をしたのだが、とりあえず僕は言ってみた。
「元気?」
「元気じゃないよ。憂鬱なことばっかりだよ。そっちは? 諸々、うまくいってるのか?」
「うん、お陰様でこっちは元気だよ。忙しいと思うけどさ、そのうち顔を見に行ってもいい?」
「いいよ。幻冬舎に来いよ」
一本の電話が、そこはかとなく悲しい。
なぜか?──続きはオンラインサロンでご覧ください)