特別公開:小説と僕らの人生のプロット 1 山川健一

次代のプロ作家を育てるオンラインサロン『「私」物語化計画』会員用Facebookグループ内の講義を、一部公開いたします。

『今回はストーリーとプロットについて書きます。というのは実践コースの人たちの原稿が、軒並みプロット無視──というのは言い過ぎかもしれないが、複雑なストーリーを展開しているのにプロットが甘い作品が多く、僕としてはある種の危機感を覚えたのだ。』

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「私」物語化計画 2019年3月8日

特別公開:小説と僕らの人生のプロット 1 山川健一

これまでは長編小説を一章ずつ書くように、この講義原稿を書いてきた。次のクールは「他者の存在によって私(主人公)が造形される」、さらにその次は「工学的構築物としての小説」と続いて行く予定だった。
そして例えば「工学的構築物としての小説」のクールは、「書き出しの現象学」「関係の絶対性とは何か?」「関係性によってキャラタラクター・メイキングすることの重要性」「この世界は諸事象の集合体ではなく諸過程の集合体である」という章に分ける予定だった。

これは『「私」物語化計画』をスタートする前につけたノートを見て書いているわけだが、いい加減そうに見えて「俺って案外真面目?」と本人である僕が驚いている。

真面目過ぎるかもね?

「自分探しの旅」につなげたいと言う思いからこうした内容になっているわけだが、これではまるで哲学のレッスンみたいではないか!
大学と違って、年齢もこれまでの体験も異なる人たちが対象なので、毎回面白いと思ってくれる人とつまらないと思ってしまう人が出るのはある程度仕方がないとして、しばらくは短編小説を書くつもりで「長編」を少し離れたいと思います。つまり、最初の予定にないことに言及します。

そんなわけで、今回はストーリーとプロットについて書きます。

というのは実践コースの人たちの原稿が、軒並みプロット無視──というのは言い過ぎかもしれないが、複雑なストーリーを展開しているのにプロットが甘い作品が多く、僕としてはある種の危機感を覚えたのだ。

──それほど、プロット作りは小説執筆に必要なものなのだ。

先日渋谷のレノンでやった懇談会で、実践コースの人たちは作品へのアドバイスをさせていただいたが、そういうわけでプロットの話が中心だった。

「私は基礎コースだから関係ない」と安心したそこのあなた! そういうわけにはいかないんだよね。僕らの実生活にも、実はプロットが存在するからです。

懇談会は10人ちょっとと人数が少なかったので、のこりの時間で全員の個人面談をやったのだが、これは大学の研究室で学生たちとおしゃべりしているのと似たような感じだった。
こういう時に僕がするアドバイスは、「実生活のプロットを発見して欲しい」と言うことに尽きる。

プロットとは何か?
ストーリーとプロットは違う。
プロットとエピソードも別のものだ。

時間の流れに沿ってお話が続いていくのがストーリーだ。一つ一つのお話がエピソードである。そしてプロットとは、ストーリーを構成するエピソードを、論理的に関連づけて再構成した設計図だ。基本的なプロットの構造は……(特別公開はここまで、続きはオンラインサロンでご覧ください)

 

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