特別公開:いよいよ旅立ちだ! 4「隠された父の発見」 山川健一
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『「隠された父の発見」に至るまでに、まだ様々な要素があるのだが、『「私」物語化計画』は物語学の研究サークルではない。自分探しの旅をする人たちと、実践的に小説を書く人たちのためのオンラインサロンなので、大切なことを先に紹介します。』
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「私」物語化計画 2019年2月22日
特別公開:いよいよ旅立ちだ! 4 「隠された父の発見」 山川健一
今回は、物語にとって最も重要な秘密について書く。
それは「隠された父の発見」についてである。
この「隠された父の発見」に至るまでに、まだ様々な要素があるのだが、『「私」物語化計画』は物語学の研究サークルではない。自分探しの旅をする人たちと、実践的に小説を書く人たちのためのオンラインサロンなので、大切なことを先に紹介します。
物語の構造は、大雑把にいうとこんなふうになっている。
1 旅立ち セパレーション
2 通過儀礼 イニシエーション
3 助言者の出現
4 隠れた父の発見
5 帰還 リターン
この構造については、後にもっと詳しく解説するが、重要な骨組みはこんなふうになっているわけだ。
僕らの小説の主人公は、橋守を倒してルビコン川を渡り、「旅立ち セパレーション」を遂げた。
橋守を倒してしまったからには後戻りすることができず、見知らぬ世界で次々に迫る通過儀礼を乗り越えていかなければならない。
通過儀礼とは大人になるための儀式という意味だが、これは一種の秘密を含んでおり、ゲームで言う「ステージ」だと考えればわかりやすい。
ゲームをやらない人は余計にこんがらがってしまう? すみません…。長編小説で言うなら、一章のことです。
たとえば5つの通過儀礼がある場合、1つ目のステージボスを倒し通過儀礼が終わる直前に、2つ目の通過儀礼の予兆がなければいけない。
小説を読む読者は、主人公や登場人物たちが抱える「秘密」を知りたいわけで、それが読者が読み進めていく原動力となり、読書という考えてみれば大きなエネルギーを必要とする行為を支えている。
1つ目の通過儀礼、秘密が開示される直前に、2つ目の秘密の存在がほのめかされる。そうすると、読者は先を読まざるを得ない状況に落とされることになる。言い方は悪いが、それがストーリーテリングの重要なテクニックでもある。
連載小説の場合など、この技術はさらに重要になる。小説に限らずエッセイや、この講義テキストでも同様だ。1つの講義が終わる直前に、次の秘密をほのめかしておかなければならない──のだが、ちゃんと出来てるかな?
いくつかの通過儀礼を経て、主人公はついに助言者と出会う。助言者はそれまで知らなかった人物の場合も、身近にいた人物の場合もある。とにかく、主人公も読者も想定できなかった意外な人に、物語の最大の秘密を聞かされるのだ。それが「隠された父の発見」だ。
わかりやすい例を挙げるなら「スター・ウォーズ」の主人公ルーク・スカイウォーカーがヨーダに、「お前の父親はダースベイダー……(特別公開はここまで、続きはオンラインサロンでご覧ください)