特別公開:新型コロナウィルスを乗り切る3段階サバイバル 山川健一

率直に言って、僕自身は今回の新型コロナウィルスの蔓延は、これまでで最も憂慮すべき世界の危機なのだと思っている。第三次世界大戦だと言う人もいるが、自分の生命が終わるかもしれないという本能的な恐れを抱いている。

しかもそれは、長く続き、僕が仕事の領域にしてきた文学にも決定的な影響を与えずにはおかない。

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「私」物語化計画 2020年4月10日

特別公開:新型コロナウィルスを乗り切る3段階サバイバル 山川健一

『「私」物語化計画』の会員のみなさんは全国に散らばっている。住んでいる場所によって受け取り方には温度差があるのかもしれないが、緊急事態宣言が出た東京は非常に重苦しい空気に包まれている。

先日クルマで外出した時、対向車線に救急車が止まり、酸素吸入マスクをした老人がストレッチャーで運び込まれているのを見た。新型コロナウィルスかどうか分からないが、遠巻きに眺める人たちは緊張した面持ちだった。救急車は、その後世田谷の自衛隊病院の方向へ走り去ったので、新型コロナ肺炎の可能性が高いのではないかと僕は思っている。

こんな時、平常心を保ち文学に打ち込むのは並大抵のことではない。会員の方からも、不安を打ち明けるメールが何通か届いている。

今回は「僕らは物語の力によって生き延びる」に引き続き、この危機をどう乗り越えればいいのかについて僕の個人的な感想を書き記してみたいと思う。
9.11のテロや東日本大震災、それに伴う原発事故の時にもそうだったが、危機に対する感覚には個人差がある。意見の相違がある。それが原因で今コロナ離婚が増えているのだそうだ。

率直に言って、僕自身は今回の新型コロナウィルスの蔓延は、これまでで最も憂慮すべき世界の危機なのだと思っている。第三次世界大戦だと言う人もいるが、自分の生命が終わるかもしれないという本能的な恐れを抱いている。

しかもそれは、長く続き、僕が仕事の領域にしてきた文学にも決定的な影響を与えずにはおかない。

人類が2019年11月以前に帰ることは、おそらく不可能なのだ。仕事の形態、恋愛、性、結婚と子育てまでが変わるだろう。ロックと文学、芸術と文化、政治と経済が変わる。

新型コロナウィルスと文学との関係については来週に述べることとして、今週は僕が実行しようとしている「3段階サバイバル」について書く。

時間軸を3つに区切った方法だ。

①「緊急事態宣言」が解除されるまで1カ月──籠城戦を戦う

緊急事態宣言の対象は今のところ東京、神奈川、埼玉、千葉、大阪、兵庫、福岡の7都府県で、期間は来月、5月6日までの1カ月間だ。

これに愛知県が追加される見通しだが、ウィルスには県境など関係ないので、京都や仙台を含め、どこであろうと危険はあるのだ。

1ヵ月間の戦略は「引き篭もり」だ。

可能な限り誰にも会わない。生活に必要な物資を買うために外出する以外は、ずっと部屋にいる。

『「私」物語化計画』のスタッフにも会わずにLINEのやりとりで済ます。本を読んだり、アニメを見たり、ゲームをしたりしてダラダラ過ごす。

今日も何もしなかったなぁと反省した直後、「いや、俺は自分自身と世界を救助するために籠城戦を戦ったのだ」と自分を褒めてあげる。

重要な打ち合わせで、相手は1人で、2人だけでマスクをして話し合うならいいだろう──とは考えない。その相手が1週間に100人の相手と会っていたとしたら、その2人きりのミーティングの際に、僕は101人の人間と会ったのと同じことになってしまうのだ。

「ゲームは1日1時間まで」という条例が香川県で成立したそうだが、この時期に愚かなことだ。こんなことを法律である条例として定めるなんて、正気か?

子供達よ、5時間ゲームやってもいいよ。

僕もiPhoneの「FGO」だけでは足りないので、iPadに「フォートナイト」をインストールした。まだ下手くそだが、3日でレベルを24まで上げたところだ。

お前は小説家だからそんなことが可能なのだ、という意見もあるかもしれない。だがそんなことはないのだ。

もし僕が会社員だったら、なるべくサボることを考えるだろう。会社と交渉してリモートワークの権利を勝ち取るよう努力する。

この時期にリモートワークを認めない会社の方針がいかに反社会的なものなのか説得する。

正当な労働者の権利として有給休暇を消化する。

どうしても出社しなければならない場合には、時差通勤を実行する。当たり前の話だが、会食や飲み会には一切参加しない。

こうした要求を会社が受け入れてくれないのであれば、退社する。生命こそが1番大切なのだから、当然の判断だろうと思う。

 

知り合いの編集者の方から、「作家を守れ!との命を受けて」とのことで、歴史学者の磯田道史さんからのメールをCCで転送して頂いた。

とりわけこの1カ月、とても具体的で参考になるので引用させていただきます。

 

《前文
薄いゴム手袋。ゴーグル。核汚染時の避難用に備蓄していたN95マスク(未使用は医療機関に既に寄贈、接着剤工作で使った既使用廃棄品を使用)の装備。この装備でコロナ対策番組などは新幹線で上京帰洛してました。文学関係者では最も厳重なことをやってるつもり。

本文
磯田です。家から出ないのが一番。しかし、やむを得ない外出時の新型コロナの感染防止対策を書いておきます。

1,外出はマスクだけでなく、アルコール系消毒液の噴霧器持参で。適宜に、手を消毒する。

2,重点消毒対象。スマホ、ドアノブ、便座、スイッチ、お金。買った物。冷蔵庫のドア。

3,靴の泥を落とす。できれば靴底を消毒する。

4,帽子をかぶる。ウイルスを髪につけない。脱げる上着も着て移動する。できれば手袋も。

5,コート上着、ズボンは玄関や決まった場所で脱ぎ、アルコールを噴霧。できれば服は洗濯するか、しないなら3日以上あけて着る。(ウイルス付着生存日数が3日はあるため)。》

②とにかく1年間を生き延びる

緊急事態宣言が出されたのは、政権による恣意的な判断が多分に影響している。宣言が出されるのが遅すぎたという批判が多いが、その結果が、今日(4月9日)の感染者数に現れている。

東京都内では9日、新型コロナウイルスの感染者が181人確認された。1日当たりの感染者数としては8日の144人を上回り最多となる。累計では1,500人を超えた。

全国の感染者数累計は5,548名だった。

元文部科学事務次官の前川喜平氏は感染者数について「実際は100倍くらい。検査不足は安倍政権の責任」だとツイートし、松尾貴史が「たしかに、感染者数ではなく『感染確認数』としないとおかしい」とリツイートした。

すると全国で既に50万人を超える感染者がいることになる。

遅すぎると言われた緊急事態宣言が恣意的であるのと同じように、5月の連休明けに宣言が解除されたとしても、しっかりした根拠があるわけではないのだということを僕らは肝に銘じなければいけない──続きはオンラインサロンでご覧ください)

 

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