晴れた日には永遠が見える、雨が降ったら小説を書こう 04 「分割」による知性から「リユニオン」による救済へ 山川健一

──遠い日の少年や少女にリユニオンすることで、僕らは癒される。救助される。そして活力を得て、新しい日々に向かうことができる──

 

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2025年9月12日

特別公開:晴れた日には永遠が見える、雨が降ったら小説を書こう 04 「分割」による知性から「リユニオン」による救済へ 山川健一

【言語で分割し、僕らは世界を理解する】

今夜はバンドのリハで、スタジオでメンバーに最近ロニー・レーンを聴いていると話したら、昔、ロニー・レーンの映画があったという話を聞いた。ギターとキーボードが観たそうだ。

帰りの地下鉄でiPhoneで調べたら、DVDが見つかった。その場で購入した。

それから帰宅し、この原稿を書いている。

先週の課題は「あなたがこれまでに歩いてきた道を振り返ってください。そしてあなたにとっての『2人の恋人』とはどのような存在かを書き記してください」というものだった。

僕の場合は、今夜は「文学とロニー・レーン」が2人の恋人ということになりそうだ。

恋人は、実は分割できる。

例えば、僕のようにロックが恋人だとすると、ロックは「ザ・フェイセズとローリング・ストーンズとザ・フー」などに分割できる。

さらにザ・フェイセズはロニー・レーンとロッド・スチュワートに分割できる。

さらに、ロニー・レーンは「ヴォーカリスト」「ソングライター」「ベーシスト」などに分割できる。

日本文学とロシア文学という2人の恋人がいるとしたら、ロシア文学は例えばドストエフスキーとトルストイに分割することができる。そしてドストエフスキーは、恋愛小説の『白痴』と政治小説の『悪霊』に分割することが可能だろう。

この分割するというのは、認識を明瞭にしていく過程を指す。これはかなり知的な行為であり、文章を書いていくのは、とりもなおさず「分割」することなのだと僕は思う。

知的な言語は「分割」するためにこそ使用される。人間は言語によって周囲の世界を「分割」し、カオスに形を与えているのだ。

しかし、ここで重大な問題が生じる。それは、この過程で三島由紀夫がよく言っていたような「近代病」に取り込まれるのではないかということだ。

近代病は、近代社会の人間存在や精神のあり方、文化の変容に関わる深いテーマとして捉えられるだろう。文明の進展に伴う人間の疎外、アイデンティティの喪失、意味の希薄化、存在の不安などを象徴する概念こそが「近代病」である。

近代病は、「書く」ことで幸福になるという今回のテーマの最大の敵でもある。

 

【近代病とは何か?】

近代病は────続きはオンラインサロンでご覧ください)

 

 

 

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