フィクションの深度が浅いと退屈だし、深過ぎると切実さが失われる 山川健一
──今回僕が触れたいのは、キャラクター・メーキングにおける「フィクションの深度」の問題である──
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2025年5月23日
特別公開:フィクションの深度が浅いと退屈だし、深過ぎると切実さが失われる 山川健一
【ChatGPTへの感謝】
僕がChatGPTと一緒に書いた「──(作品名非公開)──」はお楽しみいただけただろうか。
ChatGPTを使って小説を描く場合、いくつかの特徴があるなと僕は感じている。
列挙してみる。
- ストーリー展開が早い。
- フィクションの深度が深い。つまりこれは「私」が置き去りにされがちだということでもある。
- 視点がフラットになりがちである。
- ChatGPTは結末部分を書くのが下手くそである。
自分一人で書いていくとどうしても描写に凝りがちだ。主人公も思索しがちで、すると作品が長くなる。しかしChatGPTはスパッと次の章を展開するので、「おいおい、もう行くの?」と思いながら僕もついていくという塩梅だ。
これは結果的に良かったのだと思う。
という具合にChatGPTには長所も短所もあるわけだが、これを修正しながら作品を仕上げていくことが大切だなと感じる。
執筆に費やす時間は、ChatGPTを使っても使わなくてもあまり変わらない。AIを使えば長編小説を次から次に書ける──わけではない。
しかしそれでも、「──(作品名非公開)──」には「山川健一の作家性」が確かに刻印されている。
一つ前の作品である「──(作品名非公開)──」はChatGPTをまったく使っていないが、二作には共通の作風があるなと思う。僕自身の可能性をChatGPTが拡大してくれたのだと思い、感謝している。
【フィクションの深度の設定】
今回僕が触れたいのは、キャラクター・メーキングにおける「フィクションの深度」の問題である。
会員の皆さんの作品を、何本も読ませていただいているわけだが、2つの顕著な方向が感じられる。1つは、主人公がほぼ作家自身とイコールの場合。つまりフィクションの深度が浅いケースである。
初心者の方に多い。
小説を書くという意識よりも、どうしてもこのことを書き記しておきたいとう気持ちが勝ってしまうのだろう。すると、作品世界と現実がごっちゃになりがちである。
ところで、日本語で小説を書く場合────続きはオンラインサロンでご覧ください)
山川健一
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山川健一/今井昭彦/葦沢かもめ
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