制度からこぼれ落ちていく個体の悲しみ 山川健一

──制度からこぼれていく個体の悲しみを記述し得た作品こそが本来的な小説である。この悲しみを表現し得た作品こそが、読者に感動を与えることができる──

 

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2024年11月8日

特別公開:制度からこぼれ落ちていく個体の悲しみ 山川健一

【絶対に告白してはいけない相手は存在するか?】

9月29日の日曜日に新宿で、『「私」物語化計画』の特別講義をやった。講師は僕とどんでニスタ今井昭彦(ぴこ山ぴこ蔵)さんと、お笑い芸人ジャンボ亭ばずーかさんである。

ぴこ蔵師匠が主宰する「あらすじドットコム」と物語化計画は兄弟みたいな存在で、ジャンボ亭ばずーかさんのように両方の会員になっている方も多く、当日は「あらすじドットコム」からの参加者の方の方が多かった。

講義の最後に、僕は課題を出した。

 

課題【絶対に告白してはいけない相手に告白するシーンを書いてください】

 

これは、かつて物語化計画の実践コースの課題として出したもので、覚えている方もいらっしゃるのではないだろうか。

その次の課題が、

 

課題【何かが終わるシーンを400字詰め原稿用紙5枚以内で書いてください。何かと言うのは恋愛でもいいし、会社を辞めるシーンでもいいし、家出でも構いません。主人公にとって大切な関係にピリオドを打ち、新しい世界に彼(彼女)が旅立つことを決意するシーンを描くこと】

 

その次の課題が、こうだった。

 

課題【このシーン(告白するシーンか何かが終わるシーン)を含んだ短編小説を400字詰め原稿用紙15枚以上で書いて下さい】

 

これはまずシーンを書き、それをベースにプロットを構築し、プロットを基にストーリーを構築するレッスンである。

やがて実践コースの皆さんは、それぞれの作品を書くようになり(多くの場合100枚以上の小説)、課題をやる余裕がなくなったので、共通の課題を出すのをやめて個別指導する方向にシフトした。

僕は次の課題として【シーンの多層化のレッスン】(すでにある自分の原稿をベースに、大切なシーンを多層化せよ)、【作品全体の多層化について学ぶために、シェイクスピアの『テンペスト』(あらし)を読み、その構造分析をしてください】というような課題を用意してあったのだが、これは中断したままになっている。

しかし、そのかわりに会員の皆さんから何本もの佳作が生まれ「推薦作」のコーナーは充実し、これらを集めた文芸雑誌まで出版できたのだから良かったのだと思っている────続きはオンラインサロンでご覧ください)

 

 

山川健一/今井昭彦/葦沢かもめ『AIとの対話で物語のアイデアが広がる 小説を書く人のAI活用術』(インプレス)山川健一/今井昭彦/葦沢かもめ
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