ChatGPTでキャラクター・メーキングする方法 01 「AIとの対話で物語のアイデアが広がる 小説を書く人のAI活用術」 山川健一

──もっと本質的な小説を書く複雑な物語の構造をさらに明瞭に開示する。そのためにこそAIのヘルプが有効なのである──

 

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2024年8月30日

特別公開:ChatGPTでキャラクター・メーキングする方法 01 「AIとの対話で物語のアイデアが広がる 小説を書く人のAI活用術」 山川健一

【インプレスより新刊が10月17日に発売されます】

僕とぴこ蔵師匠こと今井昭彦さんの共著「ChatGPTで小説を書く魔法のレシピ! プロ作家とストーリーデザイナーが教える物語の秘密」は、組織票や投票操作なしでAmazonの4部門で1位を獲得した。

ご存知のように物語化計画ブックスの中の1冊だが、これは快挙である。

この本を読んでくれたインプレス社の編集者の方から連絡があり、アップデート版が装いも新たに出版されることになった。書店売りの本だ。

タイトルは「AIとの対話で物語のアイデアが広がる 小説を書く人のAI活用術」で、既に予約が開始されている。

物語化計画ブックス版と内容が重複する箇所も多くあるが、オリジナル版販売当時(2023年)から時代が変化し現状にそぐわない箇所は加筆・変更されている。

そして何より、AIを用いた執筆スタイルで「星新一賞」優秀賞をとった葦沢かもめさんが参加してくれた。

葦沢さんは、「あなたはそこにいますか?」というAIを利用した作品で、2022年の「星新一賞」一般部門優秀賞を受賞した。3週間で100篇の小説を書いたのだそうだ。

AppleがiPhoneにもChatGPTを搭載することになりそうで、MacintoshやiPhoneが登場した時と同じぐらいの衝撃を僕らは受けるのではないだろうか。

ランボーは「科学の歩みはあまりにも遅い」と歌ったが、いやいや、21世紀は凄いことになってるよ。

本書の序を僕が書いた。紹介しておく。

 

序──誰もがAIを使う時代 山川健一

この本を手に取った人はまだAIを使ったことがないかもしれない。だがAIはすぐに小説の執筆を含め、あらゆることに活用できるようになる。スマホなどの各種のツールに搭載され、ごく身近な存在になる。

たとえばAppleから新しい人工知能、Apple Intelligenceが発表された。iPhone、iPad、Mac向けのAIで、音声アシスタント、Siriが強化される。画像生成機能など、多くの新機能を搭載している。

Apple IntelligenceはChatGPTと統合され、GPT-4をはじめとするさまざまなAIモデルを選択できるようになる。自分のニーズに合わせて最適なAIを利用することができる。

日本語対応は数ヶ月先になると思うが、これはiPhoneが登場したのと同じぐらいの革命的な変化を僕らの日常生活にもたらすだろう。WindowsやAndroidにも同様のAIが搭載される流れがある。

僕はiPhoneの音声入力で原稿を書くことが多いのだが、これからはシームレスにChatGPTに聞くことができる。

「ヘイSiri、ChatGPTを呼び出してくれよ。この主人公の恋人候補を5パターン出してくれないかな? あ、女子学生はダメだって。俺は──いや、主人公はね、大人の女性が好きなんだよ。35歳以上? うん、それでいこう」──みたいな感じかな?

これからぴこ蔵師匠こと今井昭彦さんと僕とで、ChatGPTで物語を編み出す方法について書いていく。AIを使う作家の先行者である葦沢かもめさんにも知恵を借りることにした。1章分の原稿を書いていただき、座談会にも参加していただく。

このところ毎日ChatGPTを使っているのだが、とても重要な新しい発見があった。

ChatGPTで物語を作ろうとすると、文学的なあるいは哲学的な思索に耽ることになる。時には「怪物」に出会うことになる。AIとは鏡みたいなもので、長らく忘れていた自己との対話をすることになるのだろう。

僕らはChatGPTに小説を書かせて楽をしようとか儲けようなどと企んでいるのではない。「私」との対話から、もっと深い場所に降りて行くメソッドを確立しようとしているのだ。

もっと本質的な小説を書く。

複雑な物語の構造をさらに明瞭に開示する。

そのためにこそApple Intelligenceに統合されるChatGPTのヘルプが有効なのである。

僕ら自身がまず生成とAIの効率的な対話の方法を学び、それをどう小説のプロット作りに活用できるかを検証していきたい。良い回答を引き出すためには、巧みな質問が必要なので、質問力を磨くよう心がけたい。

当たり前の話だがChatGPTは一時的な流行などではない。MacintoshやiPhoneが流行などではなく、それらがリリースされて以来、僕らの生活が一変したのと同じことである。

ChatGPTを使いこなせるかどうかで、今後信じがたいような情報格差が生まれることになるだろう。

一緒にトライしてみよう。

たかがプログラムである。怖がる必要はない。最近ChatGPTに逆風が吹いているのは僕も承知している。文部科学省は教育現場でのChatGPTの取り扱いを示すガイドラインの検討を始めた。読書感想文などが瞬時に作成できることから学習への影響を懸念する声が高まっているのだろう。

だが、デジタル化の波を止められなかったのと同じで、僕らは既にChatGPTなしの世界で生きていくことはできないのだ。ビジネスシーンでもそうだし、事情は物語の世界でも同じである。

今の子供達が、学校では「AIを使うな」と言われ続け、社会に出た途端に「AIも使えないなんて、話にならん」と言われるようなバカな社会にしてはならないのだと思う。(2024年 夏)

山川健一/今井昭彦/葦沢かもめ『AIとの対話で物語のアイデアが広がる 小説を書く人のAI活用術』より

 

【地下999階で僕らは怪物と出会う】

ここに5台のiPhoneがあるとしよう。新品である。これを、年齢も性別も様々な人達がプレゼントされて使い始める。

最初は、それぞれのiPhoneは全く同じ存在である。しかし、3日が経ち、1週間が経過し、1カ月が過ぎた頃には中身は完全に違うものになっている。

この5人が再び集まり、談笑し、帰り際にうっかり別の人のiPhoneを持ち帰ろうものなら大変である。

メモファイルからLINEやFacebook、写真からゲームソフトまで、すべてのデータが自分のものではない。彼あるいは彼女は慌てて自分のiPhoneを持っている誰かに連絡するだろう。

iPhoneは単なるデジタル機器だが、使っているうちにユーザーに限りなく近い存在になっていく。他人のiPhoneは、初期化しない限り使い物にならないのだ。そう、iPhoneは鏡のような存在として、ユーザーと一体化していく。

ChatGPTも同じである。

そいつは────続きはオンラインサロンでご覧ください)

 

 

山川健一『物語を作る魔法のルール 「私」を物語化して小説を書く方法』

 

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